第一章
[2]次話
真の学者
「北朝鮮に宗教はある!」
「あるか、アホ」
テレビである学者の言うことを聞いてだ、北村幸一はすぐにこう言った。今日は仕事がないので朝からビールを飲みつつ言ったのだ。
「あの国に宗教なんかあるか」
「ないんか」
「あそこは独裁国家で共産主義国家やぞ」
娘の愛衣にもこう言った、まだ中学三年の彼女に。
「共産主義は宗教否定してるんや」
「そうなん」
「しかも無茶苦茶な独裁国家やぞ」
北朝鮮はというのだ。
「個人崇拝のな」
「あの独裁者のやな」
「そんな国に宗教あるか」
こう愛衣に言うのだった、中学生だが小柄でありつつも豊かな胸を持っていて優しい和風の垂れた感じの細い目とふくやかな頬を持ち長い縮れた感じの黒髪を後ろで束ね奇麗な唇を持っている娘に対して。
「あるとしたらあの独裁者への個人崇拝や」
「それでなん」
「北朝鮮に宗教なんかあるか」
「けど言うてる人ええ大学の教授さんやで」
見れば旧七帝大の国立大学の教授であった。
「学校の先生よりも」
「どんな大学の教授でもアホはアホや」
「そうなん」
「そうや、学校の勉強が出来てもな」
それでもというのだ。
「アホはアホなんや」
「そう言うけど父ちゃんは」
「ああ、大阪で一番アホな高校でや」
自分で言うのだった。
「ビリの成績で卒業してや」
「今もやな」
「教科書なんて開いたらな」
その時点でというのだ。
「身体中に蕁麻疹出来るわ」
「勉強全然出来んやん」
「そうや、わしはアホやが」
自分もというのだ。
「このテレビで言うてる大学の先生はわしよりもや」
「アホなんか」
「北朝鮮がどんな国か」
それこそというのだ。
「この前飛行機爆破したやろ」
「ああ、あの事件やな」
「ビルマでもやったわ」
この事件のことも言うのだった。
「人も攫ってるしな」
「その話ほんまなん?」
「ほんまや」
事実だというのだ。
「あの国はほんまにやってる、証拠が揃ってるわ」
「それで独裁国家で」
「共産主義や、共産主義は宗教否定しててや」
そしてというのだ。
「宗教があるか、あるとしたらな」
「その宗教は何なん?」
「あそこの世襲制の独裁者の個人崇拝や」
それが北朝鮮の宗教だというのだ。
「そうでしかないわ」
「大学の先生やのにそういうのわからんの」
「そうや、わしでもわかることがや」
まさにその程度のことがとだ、北村は娘にビールを飲みつつ話した。つまみはピーナッツでそれをボリボリと噛み砕いてもいる。
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