第一章
[2]次話
食べる理由
相澤一樹は四十になってから結婚した、きりっとした顔立ちだが日本人離れした顔立ちで所謂バタ臭い顔だ。
口元はしっかりしていて眉も確かな感じだ、黒髪は癖がありセットされているがやはりそちらも日本人離れしている。背は一七五程で均整の取れた身体つきで八条スポーツのシューズを造る工場で中間管理職を務めている。
その彼が若い部下達にだ、ある日笑ってこんなことを言った。
「俺も結婚したぞ」
「あっ、チーフもですか」
「そうなったんですか」
「おめでとうございます」
「有り難う、いやこの奥さんがな」
その結婚の話をするのだった。
「二十三歳でな」
「えっ、若いですね」
「チーフ今四十歳ですよね」
「それで二十三歳ですか、奥さん」
「十七歳年下ですか」
「取引先の会社の娘でな」
そちらに働いている人でというのだ。
「仕事の話をしているうちにな」
「仲良くなって」
「それで、ですか」
「結婚されたんですね」
「そうなんですね」
「そうだよ、本当にな」
それでというのだ。
「よかったよ、これで俺もな」
「家庭持ちましたし」
「その分頑張れますね」
「そうなりますね」
「ああ、奥さんも出来たし子供も出来るだろうし」
それでとだ、一樹は部下達に陽気に話した。
「これからはこれまで以上に頑張るな」
「そうして下さいね」
「チーフも結婚されるなら」
「それならです」
「お身体にも気をつけて」
「そうしていくな」
一樹は自分を慕っている部下達に笑顔で応えた、そしてだった。
結婚式はお互いの家族だけで静かに行い社宅に二人で入ってだった。そこでの生活をはじめたが。
部下達はすぐに一樹の異変に気付いた、一樹は昼になるとだ。
これまで以上に食べる様になった、その奥さんが作ったと思われる弁当を食べるだけでなく食堂にも行ってだ。
食べる様になった、それを見てだった。
部下達は彼等の間でだ、こんなことを話した。
「チーフ余計に食う様になったな」
「そうだよな」
「前は食堂でだけ食ってたのに」
コンビニで買ったり外の食べられる店食堂や牛丼屋等で食べていた、そうしていたが今はだったのだ。
弁当も食べはじめた、そうして午後の仕事に挑んでいた。
そのことに気付いてだ、部下達も言うのだった。
「何でかな」
「何か前以上に食うことあったか?」
「チーフ健康の為に夕方はいつも工場のジムで汗流してるけれど」
毎日そうして健康を維持してもいるのだ。
「それでもな」
「これは前からだしな」
「食事の量が増えたのは関係ないよな」
「別に」
部下達は誰もが一樹のこの異変に首を傾げさせた、それでだ。
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