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誇りにすべき父
第一章
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人を見て声をかけてきた。
「お二人共アンコールワットの中に入られるのですか?」
「ああ、ちょっと考えるところがあってのう」
 正岡は青年に顔を向けて答えた。
「それでじゃ」
「そうですか、実は私もです」 
 青年は礼儀正しい態度で正岡に応じた。
「これからです」
「中に入ってか」
「そしてです」
 そのうえでというのだ。
「父を探そうと思っていまして」
「まさかと思うが」
 正岡は馬のその顔をいぶかしめさせて青年に尋ねた。
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