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魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。
第一部
番外編 おかしな第一魔法刑務所
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までの自分には全く考えられなかった事だ。


 何かを欲しいとも思わない。

 だから食事は取っていない。

 水も飲んでいない。


 何もしようと思わない。

 出勤はしたが、仕事をする気にはならない。

 部下へ指示することも、書類を仕上げることも。


 何もしようと思わないし、何も要らない。

 それなのに、生きる意味なんてあるのだろうか。


 私は近くにあった刃物に手を伸ばした。



◆ 橙条雅人の場合 ◆

 何故かは知らんが、なんとなく一舎に向かっている。

 もやもやと広がる、よく分からねぇ不安が気持ち悪ィ。


「あークソ……何だよ」


 何をすれば良いのか分かんねぇ……

 持っていたカッターを腕に持って行く。

 そして―――


「あー……何してんだ、オレ」

 仕方が無いので、魔法で傷を隠し、一舎の看守室へと向かう。


 …………まァ着いたのだ。

 着いたのだが。


「レンに会わせて!! はぁっ!? 四番が呼んでる!? 御前が来ないと四番が死んでしまう!? そんなの知るかっ!! レンに会わせろ! レンに会わなきゃなんだ!! レンが待ってる、レンが呼んでる……レンのトコに行くんだ!!!! 離せクソッ!! 響、仁! 此奴等の足止めをしろ!!」
「「畏まりました、ご主人様」」
「琴葉ちゃぁぁああん、暇なんだよぉおおお!!!! かまちょかまちょかまちょかまちょかまちょかまちょかまちょかまちょ!! 琴葉ちゃんがいないと死んじゃう! ねぇ、かまってよ!! ねぇ!! 行っちゃヤダよ!! ねぇ、琴葉ちゃん!!!!」


 カオスだ……

 黒華が看守室から出てくる。


「橙条ッ……!! 退いてよ!」
「お、オイ、待てよ!!」
「なにッ!? 私はレンに会いたいの! 退かないんだったら殺すよ!!」

 …………何だ……これ。
 意味分かんねぇよ。

 嗚呼、これから如何成るんだ?
 如何すれば良いんだ?

 如何すればこの不安は解消される?
 そもそも、解消しても、また戻ってしまう?

 気付いたら腕から血が出ていた。
 もう片方の手にカッターを握っていて、黒華と囚人番号四番、八九番、そしてメイド兄弟が静かになったことから、自分が何をしたのか分かった。


「ハハ……もう、何すりゃ良いんだよ…………」



◆ レンの場合 ◆

 …………………………………………どうしよう。

「えへへへへへへへへ」

 どうすればいい。

「うふふ、愛してる」

 マズイ。

「ねぇ、レン。愛してるから、キミも私を愛してくれないかなぁ?」

 頬に生暖かいモ
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