13,ボス戦、開戦
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挙げる。
「キリト、穴の中に追い打ちはかけられないのか?」
「中には無数の赤い光と何かが動いている気配がしたんだ――エギル、暗闇の中入ってみるか?」
「……いや、止めておく」
それが無数のMobであることは想像に難くない。
暗闇の中から伸びる無数の牙と爪。身動きが取れないように四肢を抑えられ、生きたまま無数の豹に体中を食いちぎられていく。
なぜか俺はそこで、ポリゴン片にはならず、少しずつ外で見てきた肉片へと分解され、そこにいるMob達の血肉となる。
――そんな光景を想像してしまい、背筋に冷たいものが走った。
第一、迷宮区ですら団体行動しない血豹達が集団での狩りを行なってきたらなどと、想像が出来ない。
ボスがアレほどの頭なのだ。子分たちもそこそこの連携を取ってこれるはず。そうなれば、Mobとはいえ強敵となるだろう。
「……壁がパリイしてスイッチは出来るんか?」
「……理論上は、たぶん。だけどパリイのタイミングが難しいし、硬直も恐ろしく短い。なにより――」
キリトは言い難そうにココで一度、息を吸い直し、辺りを見渡した。
「ベータの時はゴリ押ししたから、攻略法がないんだ」
エギルと呼ばれた厳つい両手斧使いも顔を歪める。くぐもった声が攻略組全体の声を代弁していた。
「クロウさん――アレを伝えるべきでは?」
あれ、とは<アインクラッド生態目録>の内容のことだろう。
あの時は楽しすぎて忘れていたが、弱点について思い出したのは撤退が終了した後だった。
ヤヨイにも聞いたら疾すぎて狙う余裕がなかったそうで、「クロウさんは狙っていると思っていたのに」と僅かに怒気を込めて言われてしまった。
しかし、この状況では情報の根拠がない。どうするか、と思っていると、
――ピピピピ
情報の根拠は予想通りのところから降ってきた。。。
「しかし、確かなんやな、新入り。本当にソレで止められるんやな!!」
「……俺はクロウだ。それに俺を信じないのはいいが、それって同時にアルゴの情報を疑ってんぞ?」
キバオウは苦虫を噛み潰した様な顔で、先頭へと向かっていく。
βテスター嫌いとは聞いていたが、これほどとは。
その筆頭たるアルゴやキリトに対する目に見えての不信感はレイド内での棘となっている。
現に今の行軍で、キリトや俺(キリトとエギルのパーティーに入れてもらった)は最後尾でキバオウは先頭で指揮をとっている。
これはキバオウがリーダーだからとかそういう理由だけじゃないはずだ。
「クロウさん、こんな感じなんですか?攻略は」
隣にいるヤヨイは落ち着きなく、愛刀に手をかけている。
「あちらでは集団警備の訓練はやったことがあるのですが、こちらでは……」
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