1st season
12th night
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が、天使を責める。
「…………くそっ、俺なんざ、[本物]相手じゃ視界にも入らねぇってのかよ」
明けの明星が[流離いの天使]と死んだCL7を、無感情に見つめていた。彼の耳に、迎えに来る音が聞こえるまで、そう時間はかからなかった。
首都高における古株ドライバーである「流離いの天使」、再起不能の完敗。その噂を聞いて悔しがった男が4人。一人は、誰あろう、以前からC1エリアで彼に負け続けていた「雷光の疾風」であった。
「クソッ!」
数日後、各種SNSで情報を確認した疾風は、芝浦PAでトイレの壁を蹴りつけていた。
「ふざけんなあの野郎、負けただけじゃなく降りやがったのか……」
勝ち負けだけではなく、残るか降りるか、それもまたこの世界の選択だと彼自身もわかってはいた。だがそれでもなお、一度たりとも勝てずにいた男がそのまま去る事が耐えられなかったのだろう。
「……失礼、貴方が[雷光の疾風]殿でお間違いないかな?」
「ん……?」
明らかに普通の状態ではない疾風に対し、どこか軽い雰囲気で話しかけてくる青年に、彼は警戒心を露にしたまま返答する。
「……名乗らずに誰何するのは、いかがなものかと思うがね」
「これは失敬、私はこういうものでね」
疾風が受け取った名刺に記された名前は「ガレージフェイト」。彼は「流離いの天使」をターゲットと定めていたインテRの青年である。
「ふーん……で?俺に何の用だ?」
「銀色のCL7が墜ちたという話は本当らしいね」
「オタク、何が言いたいんよ?あいにく今は虫の居所が悪いんだ」
「なら単刀直入に行こうか、疾風さん」
青年はそれまでのどことなく軽い雰囲気を捨て、殺気を纏い臨戦態勢に入った。
「あの墜ちたCL7の代わりに、うちの店のエサにしてやるよ、アンタ」
「……アァ?」
「元々あのCL7を墜とすつもりで車を仕上げて来たんだ。同じクラスで戦ってるアレに負け越してる上に、相当名前が知れてる。ならアンタこそがうちの店の宣伝にはピッタリってモンよ」
負けるはずがない。青年は疾風本人を前にして、そうはっきりと言い切った。
「……黙って聞いてりゃ、舐めてんじゃねぇぞこのガキが」
元々苛立ちが募っていた彼に、上から目線で叩きつけられた挑戦状。火が着くには十分な理由だった。
「ここで今すぐケリつけてやろうか?」
「辞めとけ。今のアンタじゃ、変な所で事故ってくたばっちまいそうだ。今日はこのまま帰るけど、俺はいつも適当にこの辺流してるから、見かけたらかかってくるといい」
そのまま彼は返答も聞かずに車に向かう。ドアを開け、乗り込む寸前に彼は吐き捨てた。
「アンタとあのZの彼、ついでにNSX−R。[本物]になれやしな
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