第1話 ざっくりな日常だよ、雷獣さん
その3
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5分間の間続いた説教を終えて書類を閻魔大王の机に叩きつける形で提出して甘味処に向かう雷獣と鬼灯。
『甘味正義、スイーツ正義、甘いもの最強』と言う謎の座右の銘が心の中に存在する雷獣の足取りは軽く、鬼灯より先に行き一度止まると鬼灯の事を急かしまた1人で先に行き……という事を繰り返していた。
ここまでくると普通なら『少し落ち着け』と一喝する鬼灯だが雷獣の場合例外のようで、特に一喝することもなくウキウキらんらん状態の雷獣に付き合っていた。
そうしているうちに、甘味処に到着した。カウンター席に座り雷獣はクリームあんみつを、鬼灯は白玉ぜんざいを注文した。
雷獣はふと何かを思い出したのか口を開いた。
「そういえば、どっかの地獄で『果樹園を焼いたものはサトウキビで滅茶苦茶ぶっ叩く』ってのあるじゃん?」
「はい、ありますね。」
「現代に合わないから変えようって提案来てるんだけど…私も正直変えたほうがいいと思った。」
「そうですね…確かに変えたほうがいいかもしれませんね。」
「うんうん、サトウキビは叩くものじゃないもん!」
『ちょっとどこかズレていないか?』と思った鬼灯だったが取り敢えず何も言わないでおくことにした。恐らく雷獣の中では『甘いもの最強』と決まっているのだ。だからサトウキビでぶっ叩くというのは考えられないのだろう。
鬼灯が色々な考えを巡らせていると、後ろから声がかかった。
「あら、鬼灯様に雷獣様。」
「ん?あ、お香殿。」
「お香さん。」
声をかけてきたのは、衆合地獄の主任補佐である『お香』だった。
「お2人が一緒に甘味処にいるのは珍しいですね。」
「あぁ、ついさっき書類のダイレクトアタックから解放されたからね。息抜きに甘味を食べようと思って。」
気分がいいのかニコニコと笑みを浮かべながらそう述べる雷獣。そして、お香に『一緒にどう?』と聞き誘っていた。お香は雷獣の隣の席に座ると、雷獣同様クリームあんみつを注文した。
「奇遇だね、私もクリームあんみつを頼んだんだよ。」
「あら、そうなんですか。此処のクリームあんみつ美味しいですよね。」
「うんうん、クリームが多すぎず少なすぎずちょうどいい割合で入ってるからねー。飽きることがなく食べられる。」
頷きながら同意をしている雷獣。そこに注文したクリームあんみつと白玉ぜんざいが運ばれてきた。その時の雷獣は『パアァァ』と効果音がつくくらい表情が明るくなったので鬼灯とお香が『可愛い』と思ったのは此処だけの話である。
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