12,黒と黒の邂逅
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様々な肉片がそこら中に転がり、ドロリと落ちそうなその肉からは真っ白な骨が顔をのぞかせている。
迷宮区にここまで広い空間があったのか、と思わせるほど天井は高く、岩壁で囲われた周りには大小様々な穴が空いている。
中には何があるのだろう?と思って一番大きな穴に目を凝らしていると、中を覆っていた闇が不意に揺らぎ、2つの小さな星が瞬いた。
ガルルルル、という唸り声を上げ、大きなソレが中から顔を出す。
迷宮区のモンスターとボスは関連が高いというが、今回も同じようだ。
血紋を背負った巨大な体躯には優雅さと力強さを併せ持ち、顔には歴戦の戦いで付いた一筋の傷痕が赤く光っている。
今にも飛びかかろうと体を丸めたところで、そのボスの名前が視えた。
<THE Scarred Panther>
「――クロウ、下がろう」
言うが速いが、キリトはジリジリと後退を始める。ヤヨイもスラっと剣を抜いてソレに習った。
獣に背後を向けるな。原初の感覚――恐怖と闘いながら、俺も短剣を抜き、キリトに続く。
「ガルルルル」
豹王は獲物の意図に気づいた様だ。爆発させるかの如く両足の力を解放し、黒き豹は俺達の頭上を軽く超えていく。
シュタ、という軽やかな着地音とともに豹は俺達と退路の間に降り立った。
顔は王者の風格を漂わせながら、惨忍に口元を歪め、鋭い犬歯を剥き出しにする。
棘のある長い尻尾がユラユラと揺れる。
あれがその直系たる猫と同じであれば――獲物を食い殺す歓喜を表しているだろう。
「逃がさないってか。上等じゃねぇか」
俺たち三人は、今度こそ全力でボスとその先にある退路へと突進した。
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