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SAO−−鼠と鴉と撫子と
12,黒と黒の邂逅
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か?」
「ああ……」
「だったら、ボスマップまでパーティー組んで行かないか?オマエなら大歓迎だ」
「いや……それは嬉しいけど、、、」

なにか影のある表情でキリトがもごもごと呟く。
何か見えないものに縛られている様な感じが見受けられる。

「オマエだってソロの怖さは知ってんだろ?今だけでいいからよ」
返事も聞かずにパーティー申請を申し込む。キリトはイエスとノーの間で手を行き来させた後、

「いいのか?」
と聞いてきた。俺もヤヨイも当たり前という顔で頷き返すと、やっとボタンの片方をタップしてくれた。






それからというもの、戦闘で俺の出番はなかった。
キリトの索敵スキルでほぼ全てのMobを探知できたので安心して対処でき、なおかつキリトが強い。

豹の猛攻を物ともせず、確実に隙を生み出し、畳み掛ける。
その全てのモーションは熟練の域にあり、ブーストをかけた高威力のソードスキルは防御に難のあるこの層のMobにはほぼ必殺だ。
そして例え、生き延びたものがいたとしても、生み出した隙を確実にヤヨイが仕留める。

スカウトの俺が撹乱する必要のない、急増にして最強のパーティーが出来上がってしまった。

「……なるほど、ではスキルのモーションすら利用して、相手の攻撃を誘導するのですね」
「ああ、そうやってAIを誘導すれば、大技が決まりやすいんだ。さらに、スキルの合間に体術とか投剣とかを使えば……」
「……ほう、そんな方法が!!」

俺を前方に置き、ヤヨイとキリトはディープな話題に入りつつある。
お互い、バトルジャンキーな部分で通じ合ったようで、キリトも先程とは違って饒舌に話していた。
俺はといえば、蚊帳の外。
正直、ブーストの細かい技術がなんたらとか戦闘での誘導がどうとか、意味がわからん。

ヤヨイ、染まったなぁ。などと、考えていると角を曲がった瞬間に空が重くのしかかってきた。

腐臭はこれ以上ないほど高まり、本当に青紫色の靄を可視化してしまっている。
うっすらと見える先には大きな岩造りのドアが1つ――それがボスへと繋がる道であることは空気からして間違い無いだろう。

「キリト――どうする?」
「このまま返っても情報が無さすぎる。最低限、姿だけでも確認しよう」
「偵察戦をしましょう。私なら大丈夫です」

三人とも、気持ちは一緒なようだ。ポーションの数を確かめつつ、ゆっくりとドアまで近づいていく。

「結晶は持っていないんだ。ヤバイと思ったらすぐに逃げる。OK?」
二人が深く頷くのを確認して、バン。とドアを開け放った。

恐る恐る中へと入っていく。

中の空間は異常に広かった。最初の20メートル入っても、アタリには難の気配も感じさせない。
腐臭の原因と思われる大小
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