12,黒と黒の邂逅
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立ち上がろうとした所で、ヤヨイがピクリと動きを止める。視線を右上の方にずらし、しきりに何かを確認している。
「どうしたんだ?」
「プレイヤーです。どうにも一人みたいですが、こちらに来ますね」
そういった瞬間、俺の方でもカタカタと金属のぶつかり合う音がした。
もうすぐそこまで来ているのだから、ココで待ったほうが相手も緊張しなくていいだろう。
そう思って、上がりかけた腰を再び下ろす。
暗がりから出てきたのは、僅かに幼さを残した顔の真っ黒なプレイヤー。
軽装なビルドの全身を全て黒で統一し、おまけに日本人らしく黒髪ときているのだから、他の色といえば肌位のものだ。
コチラにも気づいていたようで、剣を構えながらにじり寄るように安全地帯に入ってくる。
「ごめん。プレイヤーがいるというからで、敵意とかは……」
「ああ、構わないぜ。久しぶりじゃねぇか。キリト。黒一色だとまた根暗と思われるぞ」
「ぇ、オマエ…………クロウなのか!?」
構えた片手剣の切っ先がストン、と下に落ちる。
驚愕から幼いながらもイケメンの顔が台無しになっている。まあ、それが面白そうで今まで連絡していなかったっていうのもあるんだけど。
「最前線にいないから、どうしたのかと」
「まあ、ちょっとスタートダッシュには出遅れた。最近やっと追いついたんだ」
俺はアイテムストレージから幾つかのアイテムを取り出していく。
「けど……最近は……こんなもんだな!!欲しい物あるか?」
今日の探索で見つけたものの最後の1つをオブジェクト化し切る。
いつの間にか目の前には装備品の小さな山が出来上がっていた。
キリトがあまりの両に息を呑む。
昔はこれの倍はとったもんだが、というのは流石に秘密だ。
「クロウさん。そちらは?」
「ああ、コイツはキリト。攻略組のβ上がりだ。キリト、この人は今オレと動いてるヤヨイだ」
軽い紹介にヤヨイは立ち上がって凛とした雰囲気を取り戻し、ぴっと右手を差し出した。
「はじめましてキリトさん。ヤヨイです」
「……ああ、よ、ろしく……お願いします」
対してキリトの方はおずおずと右手を差し出してくる。握手が終わるとキリトは手をさっと下ろした。
「おまえ、まだそんなコミュニケーションスキルなのかよ」
「五月蝿いな。少しずつ熟練度を上げてるとこなんだよ」
無理に会話を閉めようとするのも対人スキル低い証拠、と思うが追い討ちしても可哀想だ。
まあこれでもβテストの時よりは格段に良くなったほうで、あの時は俺とアルゴ以外のどのユーザーとも話していない。
正直、NPCかと疑われた時期もあったぐらいだ。
俺だって、たまたま助けられたことがキッカケは話すようになったはずだし。
「そういや、キリト。おまえソロ
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