暁 〜小説投稿サイト〜
勇者クリストファーの伝記
第X章
そして彼は伝説の勇者となった

[2]次話
 切っ先が、彼女の胸へと吸い込まれていく。
 白い喉が仰け反って、震える。赤黒い血が彼女の口から溢れ出す。
 足元が、床が、血に染まっていく。床に倒れる彼女が小さな声をあげようとして、音にさえならず消えた。
 薄紫の瞳が僕を映し出していた。何かを伝えるように、何かを残すように。それが何か分からないまま、その瞳からは意志が消えた。
 手が震える。何かが喉の奥からせり上がってくる。目が熱くなって、それでも、涙は出なかった。慟哭をあげなかった。



 ──そんな価値は、もう、僕にはないから。
[2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ