1st season
11th night
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の1人。何の気なしに話してはいるが、タイミングによっては熾烈なバトルを繰り広げていたであろう相手。
「冗談キツイですよ、このRだってR4Aのフルチューンでしょう?」
「いや、大した事はしてませんよ。タービンだってノーマルですし」
「って事はタービン以外には手が入ってるって事じゃないですか、人が悪いですね」
柴崎は苦笑しつつも否定しなかった。実際この33RにはR4Aのノウハウが詰め込まれていたからだ。
「最適化しただけですよコイツは。実戦するにはパワーが足りません。そのCL7の相手にはなれませんよ」
「それをサラっと出来るのはやっぱりショップドライバーの特権です」
「まぁ、それが仕事ですから」
2人はどうでもいい話を続けながら缶コーヒーを買い、車を眺めながら談笑する。
「そう言えば最近22BとエボXの彼、元気ですか?」
「あぁ、彼らですか。連日走り回ってますよ。会ったんですか?」
「えぇ、この前箱崎で話し掛けられまして。最近はウチの客からもちょくちょく噂を聞きますよ」
「まだまだ荒削りですけどね」
「それは仕方ないでしょう。でも本当に楽しそうに走ってる、彼らは伸びますよ」
一瞬天使が真剣な顔になり、柴崎を見る。そして、問い掛けた。
「……それは[本物]として、ですか?」
柴崎は一瞬返答を躊躇い、しかし振り払う様に語った。
「……[本物]なんてのは幻想です。ただ速いだけでしかない、証明も保証も何一つありません。ただ───」
少しだけ遠くを見た柴崎は、笑っていた。
「[楽しい]という感情、それだけは本人にとって絶対的な価値を持ちますから」
某所、某ガレージ。
「「へっくしょい!」」
2人の若者が、同時にくしゃみをした。
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