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ランス 〜another story〜 IF
第18話 にーちゃん
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た。家族を魔王から守る為に。……あの魔の手から逃すために。
 
 英雄ユーリを慕う者はこの世界にはたくさんいる。そして、子供もいる。つまり皆が家族だ。ダークランスは ユーリではなく、ランスの子だから 少々やきもちを妬いた事もあったが、今は全員分け隔てなく愛している。愛おしいと心から思っている。……兄馬鹿だと周囲から言われるが、何のその、である。

 その家族が、皆が会いたいと心から願う男が。家族の中心に位置する男が現在目の前にいるのだ。どれだけ否定しても信じているから。

「―――幸せ者だ。お前の様な弟を持つ兄は。きっと」
「ッ……。にーちゃんは、幸せ者?」
「間違いない。……だが、悪いな。ダークランス。……いや、フェブリル・フェレス」
「ッ!!」

 ダークランスは目を見開いた。
 それは、その名は――誰も知らない名前のハズだったから。そう名を授けてくれた母フェリス以外誰も知らない名前。勿論、ユーリでさえ知らない名前のハズだった。


「そう遠くない時期。全ての兄弟、姉妹たちが集まるだろう。ランスと、お前の最愛の兄のな。そして――ユーリ・ローランドに代わって、伝えよう。……家族を、これからも宜しく頼む」
「…………」

 ダークランスはただただ驚き、何も言えなかった。そのせいか、力を入れていた手も抜け落ち、そして今度はゾロが、ダークランスの頭を撫でた。

「頼むぞ。皆の兄、ダークランス」

 その言葉と共に、目の前にいた筈のゾロの姿は消失した。




「ダークランス? ダークランス! ほーらしっかりしなさい」
「ッ……。判ってるさ。大丈夫だ」

 いなくなってしまった事に落胆を隠せれなかったダークランスだが、直ぐにいつもの様子を取り戻した。幼さが全面に出ていた先ほどよりも更に前。普段のダークランスへ。

「最後何を話してたの? ちょっと聞こえなかったけど」
「いや。……流石にーちゃんだな。オレの真名も知ってたみたいだ」
「へー……、って、えええ!! 真名!? そんなの知られちゃってたのっ! やばいじゃん!!」
「何がやばいんだ?」
「い、いやいや、天使や悪魔って、真名知られちゃったら……」

 悪魔、天使、そして妖精に属する者は、真名を知られた相手の意思1つで僕に出来る。そして、最初にこれらを知られた相手に、絶対の服従を誓わねばならない、と言うルールがあるのだ。
 そして、僕となったものは、主の名に背けば 灰となって散る。命と共に――。

 ダークランスは 悪魔と人間のハーフ。何処までそのルールが適用されるのかは判らないが、実験する訳にもいかないから、母親のフェリスでさえ知らない事である。

 そしてヌーク77は天使。堕天したとは言え、それを知っているからこその心配だ
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