暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 12
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いけないのだ。
 「殿下のお手を煩わせない為に、皆が必死で頑張ってくれているんですよ。殿下が此処に居てくださるからこそじゃないですか」
 引き受けてくださってありがたいですよ、と表面だけで笑うミートリッテ。内では常に心臓バクバクだ。
 いつ、「暇だから俺も何か手伝って来る」と言い出すか。その善意が、同じ階に隠れている女神達にどんな影響を(もたら)すか。気が気でない。
 (政界慣れしてる人相手に秘密を守り抜けとか、何の罰なのこれ……っ! 私も孤児院(そっち)に行きたかったです、プリシラ様ぁーっ!)
 補佐の部屋に移り住んでから一年未満。
 圧倒的経験不足を痛感しながら、それでもなんとか笑顔の仮面を貼り付け続けるミートリッテ。
 実の所、彼女もまたプリシラの采配によって信徒達の士気発揚係を与えられつつ、秘密厳守以上の厄介事から保護されていたのだが……
 その事実を知るのは、これから数日後の話。


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