暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 12
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にまで達していた。
 当然だが、信徒達にミーちゃんと親し気な呼び方をされている事など、ミートリッテ自身は全く知らない。
 「や、そこまでは……俺だって間接的に聴いただけだし……っ」
 「そんなら聴かせた奴を連れて来い! デマだったら承知しねぇぞ! 俺達のミーちゃんを弄んだ罪、きっちり(あがな)ってもらう!」
 「「「そーだそーだ!!」」」
 くつくつ煮える鍋の周辺で熱を上げていく男達の感情論(しっと)
 又聞きしただけの話をうっかり自慢気に語ってしまったばかりに追い詰められてしまった哀れな青年は、百合根入りの(ざる)を抱えてガタガタと震え出し……
 「まぁまぁ、落ち着け若人(わこうど)よ。気持ちは分かるが、重要なのは其処じゃない」
 「「「! し、司教様方!?」」」
 ミーちゃんよりも接触率が低い人間達に助けられた。
 「ちょいとお邪魔しますよ、と」
 「え? えええ??」
 「四大司教様が何故、調理場(こんなところ)に!?」
 四大司教とは、中央区以外、東西南北に分かれた四つの区をそれぞれ預かる司教である。
 立場的には四人揃ってアルスエルナ教会の第三責任者なのだが、本来は各区の中心街で生活しており、中央教会には定期連絡や会議等がある時にのみ現れる。

 *なお、百合根感謝()の日に集まっていたのは何代も前からの習慣であって、プリシラが許可を取る為に召集した訳ではない*

 「まぁ聴け、同朋達」
 最初に声を掛けてきた五十代前後の男性司教が、荒ぶる馬を抑えるように両手を前に出し、にやりと唇の端を持ち上げた。
 「中央司教閣下が出掛けたのは事実だ。彼女に名指しで頼られた第三王子殿下も、今は二階の会議室で騎士団の方々と……ミーちゃんと一緒に、お控えくださっている」
 「ミーちゃんが……っ!?」
 「会議室に!!」
 呆気にとられて静まりかけていた調理場の空気が、ミーちゃんの所在情報一つでざわりと(うごめ)く。
 崇敬の念に忠実な彼らの足は自然と浮き立つが、
 「ならん! お前達、自らの(しごと)無理矢理外(ほうき)して楽園を目指そうとすれば、完全遮音の密室内で絨毯の上に落ちた羽毛一枚の音すら屋外から聴き分け、千国先の雑踏に紛れて起きた擦れ違いざまの窃盗をも時間のズレ無く見通す悪魔に、笑いながら全力で(ほふ)られるぞ! 心底。楽しそうに。高笑いしながら。だ! 素直に怒られたほうがどんなにマシか、解らぬお前達ではあるまい!?」
 人としての理性に阻まれ、一様にガックリと項垂れるより他に術は無かった。
 「ああ……人の身のなんと無力なことか!」
 「これも、我ら「生贄」に科せられた罰だと仰るのか……っ」
 「目の前に……目の前に、癒しの泉が見えているというのに! なんたる残酷! まるで「待て」
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