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SAO−銀ノ月−
「……プレゼントは、照れます」
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「そういえばショウキの誕生日って今日だっけー?」

 趣味の食べ歩きから帰ってきたプレミアは、そんな言葉をリズベット武具店の外側から聞いていた。今まさに店内に入って、今日はどんなものを食べてきたかを二人に話そうとしていたところで、プレミアはピタリと扉を開く手を止める。

「誕生日……」

 誕生日というものはプレミアも知っていた、ケーキやチキンを食べられる日だというのを。それと周りの人にプレゼントを渡される日だというのも知っていて、プレミアは決意を込めて武具店の扉を閉めた。

「誕生日プレゼントです……!」

 ショウキに誕生日プレゼントを買ってくる――そんな使命を心に秘めて、店内にいるショウキの「来月の今日だ」という言葉を聞き逃しつつ、プレミアは再びフィールドへと歩みを進めていた。


「とはいえ」

 誕生日プレゼントというものの存在は知っていても、それがどんなものかはもちろんプレミアは知らなかった。どちらかというとケーキやチキンを食べる日だと記憶していたため、プレゼントの方まで頭が回っていなかったこともあったが。

「むむ……」

 唸りながら林の中を歩いていくが、さっぱり妙案は浮かばない。以前、普段のお礼に『プレゼントはわ、た、し』というのをやってみたところ、ショウキにはさっと逃げられた上に後でリズから怒られたので、どうやらアレはお気にめさなかったようだ、とプレミアも日々学んでいた。

 プレゼント。ショウキの好きなもの。刀。刀ならショウキはもういっぱい持ってます。ケーキやチキン。それはきっとリズが買っているでしょう。それならさっき食べた、アルゲートそばを買ってくればいい……! といった順で、プレミアの思考回路は進んでいく。そうと決まればと、アルゲートそばの店に戻ろうとした足がピタリと止まる。

「お金がありません……」

 ポケットの中に入れたユルドは、明らかにお土産を買うのに足りず、プレミアは膝から崩れ落ちた。ちょうど『給料日前』ということと、引っ越しで活動範囲が広がったことで、食べ歩きの頻度が増えたことが原因だった。要するに自業自得である。

「まだ……まだです」

 しかして諦めるのはまだ早いと、プレミアはまだ見ぬプレゼントを夢想しながら立ち上がった。足りなかったら稼げばいい、今の自分にはその力があるはずだと、プレミアはモンスターを求めて走り去った。モンスターを倒せばお金が貰える、というのはプレミアも聞いていて――どうしてですか? と聞いても答えてくれなかったが――とにかくモンスターを倒してお金を稼ごうとしたのだ。

 プレミアは走った。恐らくこの浮遊城で最も走った。最初はすぐ見つかるだろうと歩いていたのだが、さっぱり見つからないので走り出した。そのままずっと見つからなかったので走
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