G戦線
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だが」
カイが語り始めた。
「体内に毒を精製するらしい。特に特殊な薬剤を使うわけでなく、食事のバランスで体内に毒が生成されるそうだ。それをやつらの口に入れるだけだ」
「それで奇襲か」
「まあ、奇襲というより特攻のようなもんだ。一人一殺という感じだ」
「しかし、総隊長の感じからは、それで終わりって感じじゃなかったが」
「おれらの目的は、ここの領地を占拠することじゃなく、安全な生活が出来ればいいだけなんだが、やつらはそれを許してくれない。だから仕方なく、全面的に戦っている」
「戦っているというか、単なる反乱軍のようなものだけどな」
「いや、話によると他国からの援軍もあるらしい。数にしておよそ1万だそうだ」
「戦場が一面真っ黒になる感じか。それで、援軍はいつごろ着くんだ」
「明日、あさってには到着するらしい」
「今度の奇襲が勝利の要となるのか」
「もう少しだ。頑張れよ」
カイはまた、カッパのケツをたたき、暗闇へと消えて行った。
日が落ちたころ、奇襲が始まったようだ。やつらの叫び声が聞こえてくる。
「飛行部隊の後、地上部隊だ」
どうやら、攻勢に出ているらしい感じだ。
「後方部隊。敵が一時撤退した今のうちに、食糧の確保を」
この何年かで、組織的な動きができるようになったのである。
また、やつらが戻ってきたようだ。
「撤退、撤退、撤退」
「引け、引け〜」
飛行部隊の奇襲で毒を散布し、地上部隊で敵を追い払った形だ。普通ならこのまま占拠すればいいのだが、守備ができるほどの、数はいない。当面の食料の確保が精一杯だ。
やがて、敵が戻ってきた。
敵は、毒ガスを散布しながら、領土を回復していく。
「今日は、ここまでか」
奇襲を指揮していた隊長がいい残し、全軍撤退した。
「報告します。死者1、負傷者0でした」
「よくやった」総隊長の顔から緊張の色が消えた。
当面の食料が確保できたので、全部隊に配給が回った。
だが、増援は、来なくなったらしい。噂では、途中で敵に殲滅させられたとのことだ。
また明日も、こんな戦闘が続くのだろう。
カッパは、奇襲から戻った妻と街の片隅で一緒に食事をしていた。
「よく無事だったな」
「ええ、何とかなったわ」
「また、明日から戦闘だと思うが、お互い命を大切にしような」
「そうね。お腹の赤ちゃんのためにも」
食卓に戻ったメアリーは、マスクをしたまま、食卓に置いてあるスープを全部捨て、言い放った。
「あいつら、群れを成して、食卓を襲ってくるようになって、大変だわ。外から来たのは、パパが洗剤で全部流したけど、市の衛生局は何をしているのかしら」
ふとメアリーの視界に黒い影が動いた。
パーン。用心のため手に持っていた紙筒で黒い影に向かって一叩き。
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