「少しお話ししませんか?」
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て手にいれた《浮遊の魔術書》は最も目立つ場所に飾ってある。自分を拾ってくれたショウキにリズも、様々なことを教えてくれたアルゴにアスナもユイも、そこから仲良くなったシリカたちみんなも、今日ショウキたちに関係なく友達になったガーネットたちも。プレミアはみんなのことが大好きだった。
……大好きだ。自信をもってそう断言できる。できる、からこそ。プレミアは自分の心にぽっかりと穴が空いたように感じていて。
「ショウキ? リズ?」
ただしその感情がどういったものかは分からずに、プレミアは漠然と『寂しい』と思いながら部屋のベッドで横になっていたが、廊下から人の気配がして問いかけた。店ならともかく、自分たちが暮らしているこのスペースともなれば、大体はショウキかリズのどちらかだったが。
「おなたは……?」
部屋の扉を開けて入ってきた人物は、そのどちらでもなかった。暗灰色の革鎧と腰に帯びたカタナ、流れるような銀髪と眼帯――彼女が《剥伐のカイサラ》と呼ばれるフォールン・エルフだということは、プレミアはすぐに知ることとなる。カイサラは恭しく礼をすると、プレミアに対して手を伸ばした。
「お迎えにあがりました。巫女様」
「……っ」
ログイン特有の独特な感覚に顔をしかめながら、ショウキはリズベット武具店――正確には、店に併設された自身の部屋へと現れていた。といっても特に用事があるわけでもなく、なにか虫の知らせのようなものを感じてログインしてきただけなのだが。
「プレミアー?」
なのですることと言えば、虫の知らせをしてきた彼女への挨拶をと。店にいればいいが、と扉を開いた先では、ショウキの予想とは違う形でプレミアを見つけることとなった。
「……ショウキ」
向かいのプレミアの部屋、その扉が開けっぱなしになっており、すぐそこに黒髪の少女は座っていた。仲間たちが押しつけた様々なものが飾り立てられた雑多な部屋、そのベッドに座ったプレミアに、何故か気恥ずかしいものを感じてしまって、ショウキは無意識に目を背ける。
「ああ、悪い。休んでたか?」
「いえ、大丈夫です。それより、少しお話ししませんか?」
「……そこじゃなきゃダメか?」
「ダメです」
ポンポンと、プレミアは自分の隣に来いと示すようにベッドを叩く。一応は確認してみたが、やはりショウキには拒否権はないらしく、観念してベッドに失礼する。
「夢だったんです。ショウキをベッドに誘うの」
「……それ絶対に外で言わないでな」
「よくわかりませんが、わかりました。今日、すごい冒険をしてきたんです」
どことなく懐かしいやり取りをしつつも、プレミアは今日の冒険とやらについて語りだした。とても嬉しそうに話すプレミアの姿からは
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