暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
「少しお話ししませんか?」
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状況は初めてと語っていて、それでも自分を信じて戦っている後ろ姿にガーネットは勇気を貰い、ポーションを一気に飲み干しカンニングしつつの詠唱に移る。

「すぅー……エック・カッラ・ブレスタ・バーニ・ ステイパ・ランドル――」

 深呼吸の後、ガーネットは杖を大地に突き刺し魔法の詠唱を始めていた。プレミアが持ちこたえてくれているとはいえ、あいにくと《リトルネペント》は背後からも迫ってきており、詠唱を失敗している余裕はない。ただし今のガーネットに失敗はなく、炎と化す魔法の力が大地へと伝わっていく。

「プレミア!」

 唱えるは悪魔の炎。破裂する死を呼び森の軍団を焼き尽くす、そんな意味が込められた文言が浮かび上がるとともに、ユイの警告がプレミアへと飛ぶ。触手からの攻撃を受けてHPをすでに半分ほど減じさせていたプレミアだったが、その警告を受けて細剣を横切りに薙いで触手たちを切り払いつつ、ガーネットの隣まで浮遊しつつ後退する。

「――ドロート!」

 その瞬間、ガーネットが力ある言葉を唱え終わり、大地から炎が噴出した。それはまるで間欠泉のようであり、ガーネットの周辺に集まっていた《リトルネペント》の直下から、弱点である炎が嵐のように炸裂する。

「これが魔法ですか」

 そんな大魔法を見たことがなかったプレミアの関心とともに、炎の間欠泉は徐々に弱まっていく。幸いなことに集まっていた《リトルネペント》で弱まったのか、森を焼くようなことはなく、鎮火すると元の森の景色へと戻っていた。

「お……終わっ、りました、たか?」

「はい。ガーネットのおかげでみんな無事です」

「ありがとうございます、ガーネットさん!」

「ほ……ほんとだ! やったぁ!」

 魔法を放っていた当初からつぶっていた目を開け、ようやく自らの魔法が起こした結果を自覚できたのか、ガーネットが大きくガッツポーズをしてみせて。そのまま感激のあまりプレミアの手を握ったままぶんぶんと振り回し、全身で喜びを表現する。

「いやー、もう地面からぶわーって! すごい強そうなのが、その、ぶわーって! ……あ、プレミアさんは大丈夫だったか!?」

「わたしは大丈夫です……わたしも、ガーネットを守れて嬉しいです」

 ガーネットのように感情を表現することは出来ないが、プレミアも初めて『誰かを守る』ことが出来て満足げに微笑んでいた。今までショウキたちに守ってもらっていただけのプレミアだからこその喜びであり、心配げなガーネットにガッツポーズをしつつ、回復ポーションを飲んでいく。

「じゃあこの調子で、クエストのアイテムを手にいれちまうか!」

「しかしガーネットさんはMP切れでプレミアはダメージを受けています。1度、出直した方がいいのではありませんか?」

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