第三章
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彼は秦王や他の秦王の家臣と共に斉王の宴に出た、太子であり今はその斉王と組んで秦王に対している李健成は政務で出ていなかったが代理として彼の重臣である魏徴が出ていた。だが魏徴は尉遲恭の姿を見てすぐに彼に言った。
「貴殿、すぐにです」
「帰られよと」
「貴殿の身を案じて言わせて頂きます」
こう言うのだった。
「斉王は貴殿のお命を狙っています」
「だからですか」
「急用が出来たということにして」
そうしてというのだ。
「帰られて下さい」
「そう言われますか」
「貴殿の身を案じてです」
「そうですか、しかし」
「それがしは太子の臣ですが」
このことも言う魏徴だった、つまり秦王と対していて尉遲恭とも敵同士だというのだ。
「ですが貴殿は唐に必要な方」
「だからですか」
「ここで何かあってはなりません」
それ故にというのだ。
「すぐに帰られるべきです」
「そうですか、しかしです」
「この度はですか」
「秦王にも申し上げています」
「ではこの度の難を」
「はい、避けてみせましょう」
「ふむ」
魏徴は尉遲恭のその顔を見た、そしてだった。
彼にだ、こう言ったのだった。
「それでは」
「はい、魏徴殿も」
「見させて頂きます」
尉遲恭に落ち着いた顔で答えた、そうしてだった。
彼は自分の席に着いて静かに宴で飲み食いすることにした。斉王は秦王を上座に据えてそうして宴をはじめたが。
場は緊張に包まれていた、何時斉王が仕掛けるのか秦王の家臣達も斉王の家臣達も戦々恐々として見守っていた。
そしてだ、宴で斉王が行わせた女達の舞が終わったところで彼は尉遲恭に言った。
「将軍、見せてもらいたいものがある」
「何でしょうか」
尉遲恭は何となく応えた、だが。
周りの者達は遂に来たと思った、それは秦王も同じで。
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