十八 等価交換
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トに、いのは眼を見張る。
隣で、地面に膝をついていたチヨが息も絶え絶えに「い…いつのまに…ソレを…」と苦々しげに言うのを聞いて、彼女はようやく気づいた。
ナルトが手にしているのは、『父』と『母』が収容されてある巻き物。
チヨがサソリを闘う為に持ち出した、幼い頃のサソリが作った傀儡人形だ。
つい先ほどまで、サソリとの戦闘に用いていた二体は、チヨが毒で痺れた事でチャクラが乱れ、巻き物の中へ戻っていた。
しかしながら、その巻き物はチヨの真横にあったはずだった。
もちろん、チヨの傍らに佇むいのにとってもすぐ傍に落ちていた。
その巻物を、2人に気づかれず、いや、サソリにすら悟られる事も無く、いつの間にか奪っていたナルトに、チヨは驚愕した。
恐るべしはサソリではなく、この不可解な人物にあるのではないか、と。
こちらにとっての有意義な情報を与えるも、しっかりとその対価として『父』『母』の巻き物を手に入れているナルトに、サソリは舌を巻いた。
同時に、小声で囁く。
「……最初からわかっていたのか…?」
「勘だよ」
サソリの懐に、手に入れた『父』と『母』の巻き物を忍ばせる。
本来の目的である代物を、ナルトから得たサソリは、深紅の髪を軽く振った。
「…なんだか、全てがお前の手のひらの上で転がされているふうにしか見えねぇな…」
「冗談を言うな」
サソリの一言に、ナルトは口許に笑みを湛える。
それは自嘲の笑みだった。
「己自身のことでさえ手に余るくらいだよ」
敵だというのに、白いフードで顔を隠す得体の知れない存在から、いのはなんだか眼を離せなくなった。
不思議と惹きつけられるモノが彼にはあった。
「……いい加減、彼女の毒を解毒してやれ」
ナルトの声で、いのはハッ、と我に返る。サソリの毒で痺れているチヨに、彼女は慌てて解毒剤を投与した。
荒かった息遣いが次第に落ち着いたものへなってゆく。
ほっと安堵の息を漏らしたいのが次に顔を上げた時、其処には誰もいなかった。
サソリも、『父』『母』の巻き物も、そして不可解なフードの存在も。
瓦礫の山の上で、いのはチヨの身体を支えながら、茫然自失する。
目の前に広がる荒涼たる光景。
あとに残されたのは、サソリとの戦闘の爪痕だけだった。
「やっぱ、腕がねぇと不便だな、うん…」
数多の蝶型の爆弾を従えながら、デイダラは眼を細める。
木ノ葉の
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