十八 等価交換
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三代目火影の話をし始めたナルトに、いのは怪訝な視線を投げた。
木ノ葉の里では一部の者しか、ヒルゼンの生存を知り得ない為、彼女もまた、三代目火影が『木ノ葉崩し』で亡くなったと思っている。
だが、いのが大蛇丸の情報を得たい理由は、里抜けしたうちはサスケと春野サクラを連れ戻したいという想いからだ。
残念ながら、三代目火影の敵討ちというわけではない。
しかしながら、いのが反論する暇を与えず、ナルトは厳かに口を開く。
フードで隠された顔の内、唯一垣間見える唇から紡がれる一言に、いのは眼を見張った。
「草隠れの里にある天地橋」
「坊…!お前、」
思わず声を荒げるサソリをよそに、ナルトは淡々と言葉を続ける。
それこそ、いのが求めていた情報だった。
「十日後の真昼、其処へ行け」
「てめぇ、なにを勝手に…!」
自分しか知り得ぬ情報を赤裸々に告白するナルトの胸倉を、サソリは掴んだ。
額と額がぶつかりそうなほどの接近にも臆さず、平然とした顔でナルトはサソリを見つめ返す。
「いや、それよりどうやって…!」
草隠れの里の天地橋で、部下と会う約束をしている事を知っているのか。
サソリの言葉尻を捉え、ナルトはキッパリと一蹴する。
「見逃してもらうに値する情報だと思うが?」
自分が割り込まなければ、いのに倒されていただろう?、と暗に告げるナルトに、サソリは気まずげに視線を彷徨わせた。
深い滄海の如き双眸の蒼に、しかめっ面が映り込む。何もかもがお見通しかのような澄んだ瞳から顔を逸らして、サソリはチッと舌打ちした。
渋々「大蛇丸の部下に俺のスパイがいる。其処でソイツと落ち合う手筈になっている」と口早に述べる。
思いがけず聞き出した大蛇丸の情報に、いのは眼を瞬かせた。
大蛇丸の部下である相手。
そいつと接触して上手く、大蛇丸の許へ向かい、あわよくば、サスケとサクラを連れ戻す。
そう、期待に胸を躍らせつつも、いのは疑念を晴らすことができない。
怪訝な表情で、彼女はナルトとサソリを注意深く睨み据えた。
「……それが嘘じゃないという証拠でもあるの…?」
木ノ葉の忍びを誘き寄せる罠ではないか、と疑ういのの前で、ナルトは軽く肩を竦めてみせる。
「…信じるかどうかは、そちら次第。だが、たとえ虚偽だとしても、藁にも縋りたいのではないのか?」
「…っ、」
確かに、何の手がかりも見出せない今、ナルトからもたらされた情報は、サスケとサクラへ辿り着く、唯一の道だ。
押し黙るいのを暫し、眺めていたナルトは「そうそう」と今、思い出したかのように、軽い口調で語る
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