第二章
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「昔のお笑いは今よりもね」
「面白かったっていうのね」
「これ懐古趣味かも知れないけれど」
それでもというのだ。
「昔の芸人さん達はね」
「今より面白かった」
「今は全然駄目って言ってるわ」
「面白くないのね」
「そう言ってるわ」
実際にというのだ。
「今はって」
「そうなの」
「さっき名前が出たやすきよもそうでいとしこいしも」
「面白かったの」
「そうだったみたいよ」
「それで今はパワーが落ちてるから」
肝心の吉本の芸人達がだ。
「ここの吉本カラーもね」
「薄くなってるのね」
「ええ、ただ阪神はね」
道頓堀を彩るもう一つのカラーだ、本来は西宮のチームの筈だが大阪ひいては関西のチームになっている、ネットが普及し日本をその邪悪な精神で蝕んできた巨人の人気も超えたという。正義は必ず勝つということだ。
「相変わらずね」
「黒と黄色は健在なのね」
「そうみたいよ」
こちらはというのだ。
「昔も今もね」
「阪神は強いのね」
「あそこは勝っても負けても」
チームの強弱、つまり調子に関わらずだ。
「やっぱりね」
「時代によらず」
「強いみたいよ」
「昔はホークスもあったわよね」
葵は麻友と一緒にタコ焼きの店に向かいつつ話した。二人の共通の好物だ。二人が住んでいる上本町でも結構食べている。
「なんばパークスのあった場所に」
「大阪球場ね」
「あの球場があって」
「南海ホークスだったわね」
「そうだったわよね」
「それでも阪神がね」
「道頓堀のカラーだったのね、確かにね」
葵も阪神については納得した顔で応えた。
「個性が半端じゃないし」
「いつも人気選手いるでしょ」
「ええ、だからなのね」
「何だかんだでね」
「勝手も負けてもね」
「注目されてるから」
そして人気も圧倒的だからだ。
「ここでもね」
「カラーが濃いのね」
「優勝の時には飛び込むしね」
この道頓堀の風物詩の一つにもなっている、八十五年の優勝以来のことだ。
「まあ滅多にないけれど」
「滅多にないは余計よ」
葵は麻友の冗談めかした言葉に笑って返した、二人でたこ焼きをお店の近くの腰掛けるところに座って並んで食べながら。
「それはね」
「いや、ファンだから言うのよ」
「滅多にないって」
「毎年ならいいのに」
「そうね、阪神が毎年優勝とか」
葵もファンだ、それで言うのだった。
「そうそうね」
「阪神の場合はね」
「優勝しそうでもね」
「毎年夏になると調子が落ちて」
高校野球、阪神にとって地獄のロードがはじまるとだ。
「それでだからね」
「調子の悪い時はそのままで」
「それで優勝出来るのはね」
「滅多にない」
「そうなってるじゃない」
「ずっとそうなのかしら
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