第三章
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「あと風俗行って」
「やっぱり御前そっち行くよな」
「そうして遊んできます」
「日本一になったらな」
「その時楽しみにしておきます」
「そんなこと絶対にねえよ」
駒込は笑って言い艦が停泊してだった。中西は外出するがその時に舷門で当直の者達にこう言ってみた。
「十月の予定に阪神優勝って書いてくれますか?」
「うん、残念だけれどその可能性はゼロコンマ何パーセントだね」
当直の海曹が即座に答えた。
「それ位だね」
「阪神は今年は駄目だ」
当直の先任海曹である曹長は中西の肩をぽんぽんと優しく叩き暖かい声をかけた。
「来年に期待しろ」
「今年無理ですか」
「今の調子じゃ絶対に無理だ」
これがこの曹長の言葉だった。
「また最下位だ」
「最下位ですか」
「わかったら上陸して遊んで来い」
「まあ優勝しますけれど」
「ああ、わかったから遊んで来い」
中西が言いたいことは笑って済ませてだ、曹長は彼を上陸させた。そうして彼は親しくしてくれている海士長と二人で停泊先での小旅行を楽しんだが。
とかく阪神は負け続けていた、それで中西は新聞のスポーツ欄を無意識のうちにあまり読まなくなっていたが。
その彼にだ、駒込は笑って尋ねた。
「おい、最近新聞あまり読んでないな」
「まあ何ていいますか」
「阪神が弱いからか」
「そうじゃないんですけれどね」
「絶対にそうだろ」
そこはというのだ。
「阪神が負けてるからだろ」
「今日から大逆転ですよ」
「それいつも言ってるけれどな」
駒込は笑ったまま中西に言った。
「どんどん負けていってるしな」
「だから私もですか」
「新聞も読まなくなったんだろ」
「気のせいじゃないですか?新聞は読んでますよ」
中西は白々しいと思いながらも駒込に言った。
「ちゃんと」
「スポーツもかよ」
「はい、昨日ダイエー大勝利でしたね」
「セリーグの、阪神のところだけ読まないだろ」
駒込は確信を指摘した。
「そうだろ」
「いやあ、読んでますよ」
「勝ってる時だけだろ」
わかっていて言う駒込だった、実際に中西は阪神が負けた次の日は新聞のスポーツ欄のセリーグ特に阪神のことには目を通さなくなっていた。負けていることを朝の新聞でも確認することが嫌だからである。
だが中西の阪神への想いはかなりのもので艦を降りる数日前に駒込にあるものを差し出した、それは一体何かというと。
「六甲おろしかよ」
「違いますよ」
黒と黄色のジャケットのCDを満面の笑みで差し出しての言葉だ。
「阪神タイガース全体の応援歌です」
「今年のか」
「はい、これを記念に置いておきますね」
「そんなのいらねえよ」
駒込は中西に苦笑いで応えた。
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