それで、あなたは何が出来るんで?
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った。
「あの……」
「あぁ、すいませんねぇお嬢さん。子供相手とはいえ商取引はさっさと済ませる質でして。さてと……改めまして『口入れ屋真上』へようこそお嬢さん、お名前をお聞かせ願えますかね?」
そう言ってシュートは何やら羊皮紙のよりもペラペラとした薄い物に、ペンらしき物で何かを書き付け始めた。
「あ、あの……ニナと言います」
「ふむふむ……歳は?」
「17、です」
「成る程、成る程……そのお顔からすると相当に苦労なすった様だ」
「っ、解るんですか!?」
「私は口入れ屋です。仕事を求める人を人手を求める人に引き合わせる……それが仕事です。しかし、その為にはその人を観察する必要がある」
「観察……ですか?」
「そうです。人には得手不得手があり、嗜好があり、それまでの人生の経験があります。私はその全てを読み取り、その人に適した仕事を斡旋して、紹介料と身元保証金を頂いてこそ儲けが発生する」
そこでシュートは簡単にだが、口入れ屋のシステムを説明する。口入れ屋は人を求める仕事先を確保しておき、仕事を求める人をその特技等に見合った仕事先に斡旋する。そして斡旋した店から紹介料を頂き、紹介した人物からは毎月給料の1割を徴収する。その毎月徴収する1割の給料で口入れ屋は店に対して斡旋した人物の身元を保証する。その人物が何かしらの過失や損失を店に与えた場合、紹介料の返済と損失の補填を行い、口入れ屋はその報いをその人物から求めるのだ……どのような手を使っても。
「つまり、私が儲かるには少しでも長く紹介した仕事先で稼いで頂きたいのです。それだけ毎月の徴収する額が増えますからね」
シュートはそう言って、皮肉げに笑って見せた。
「その為にも幾つかお尋ねしたい。ニナさん、貴女何かしらの罪を犯した事は?」
「あ、ありませんっ!確かにウチは貧乏でしたが、それでも人の物を盗んだり奪ったりした事は一度たりともありません!」
「……ふむ、では貴女は何が出来ます?」
「何が出来る、って言われても……」
シュートにそう問われて今までの人生を振り返るニナ。しかし、特別な教育や訓練を受けてきた訳ではない自分に何が出来ようか?という虚しい思いが身体中を駆け巡る。
「……何も、無いです」
「何も出来ない、と?」
「だってそうじゃないですか!私はただの田舎娘ですよ!?魔法が使える訳でもない、剣を握った事だってありません。かといって賢い訳でもないし、シュートさんが求めるような特別な事は何一つ出来ませんっ!」
そう言ってふええぇぇぇ……と泣き出したニナ。しかし、その号泣する年頃の娘等視界に入らん、と言わんばかりにシュートはコーヒーを啜り、ヤックは貰ったキャラメル
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