暁 〜小説投稿サイト〜
問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
一族の物語 ―交わした約束― 中断
[6/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
最後に当主を殺そうとして……まあ、あっさり捕まります」

『愛』という大きすぎる、重大すぎる感情の欠落。それは確実に、彼の力を増加させていたのだろう。

「さて、暗殺者が何をしたのか知った当主は何をしたのかといえば……答えは単純、何もしなかった、です」
「……嫁と子供を殺されたのに、ですか?」
「はい。だって彼にしてみれば、自らの嫁と子供に向ける愛と目の前にいる暗殺者に対する愛は、全く同じものなんですから」

そう、これが起こってしまった最悪。博愛主義、という考え方を言葉の通りに受け取り、模倣してしまったが故の弊害。一度も会ったことが無い人物に対してすら、殺意を向けてきた相手に対してすら、家族に向けるのと同質同量の愛を向けてしまった、狂人。
……いや、家族に対してすら、赤の他人に向けるのと同じ愛を、というべきなのかもしれない。

「とまあそんな人物がいたわけなんですけど、これは果たして善なのか悪なのか。イカれてることだけはまちがいないですけど、それ以上のことが分からないんですよねぇ」
「……ちなみに、その人はその後どうなったのかしら?」
「そんなイカれた思考回路を知り、恐怖を抱いた近隣住民の方々に殺されました。最後まで笑顔だったそうですよ」

その後、鬼道の家は彼の弟が継承した。弟はその教訓から、「博愛主義を名乗るものが現れたら即刻処刑すること」という家訓を残す。

「まあ、個人的には博愛主義者を名乗る人間なんて迷わず殺しちゃっていいと思ってますけどね。本当に博愛主義をやれている人物なら狂人の極みですし、なんちゃってで名乗ってる人間なんてロクでもないでしょうし、博愛主義をやれていると思っている人間もまぁ、害悪でしょう」

湖札は後々面倒事になるだろうという考えで、会ったならすぐさま殺してしまうだろう。
一輝であれば……どうだろうか。今後関わることがないと確信していれば放置するだろうか?まぁ、関わりうると思えば面倒に思い殺すのだけれど。

「とまあさっきのは極端な例ですけど、鬼道の当主なんてそんな感じのイロモノぞろいなんです。人間のコミュニティ視線で見た場合ですと、本当に当主次第、としか」
「……まぁ、一輝も大概イカれてるし。そう思えば、納得もできる、けど」
「じゃあそのまま納得しておいてください。さて、次は何か質問ありますか?」

無駄に長い話であった。
そんな感じで少し待ち、さて何も質問が出ないだろうかと考えだしたタイミングで。

「……なら、妖怪や魔物、霊獣、神と言った一輝君の言う異形の存在は、あなたの世界でいつから存在するものなのかしら?」
「……ふぅん」

飛鳥から、そんな質問が出る。湖札はその問いに対して柔らかな笑みを消し、一切目が笑っていない笑みに変えてから。

「はじめから、で
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ