第三章
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彼は意識しだした、自分が観る阪神の試合は本当に負けるのだとだ。それは彼が三曹になり下総勤務になってもだ。
休日外出から帰るとだ、開幕戦で阪神は悪魔の地東京ドームで巨人と戦ったが。
惨敗した、その瞬間を外出から帰って隊舎の先任海曹室のテレビで観て当直海曹に対して外出中飲んで真っ赤になった顔で言った。
「阪神負けましたね」
「開幕からな」
「滅茶苦茶に打たれて」
「こりゃ幸先悪いか?」
「そうですよね」
こう先任海曹に応えた。
「帰った瞬間にこれですか」
「巨人には負けて欲しいけれどな」
先任海曹はこうも言った。
「阪神がこれだとな」
「阪神今年はやりますよ」
「そうしてくれ、巨人に勝ってな」
そうしてとだ、先任海曹は自分の席から中西に話した。
「ヤクルト優勝させてくれ」
「あっ、ヤクルトファンですか」
「そうだよ、けれどこんなのだとな」
阪神に圧勝した巨人を見ると、というのだ。
「今年もまずいか?」
「巨人の優勝嫌ですね、けれどそれ以上に」
中西は外出札を返しつつ言った。
「阪神の最下位は」
「そうだよな」
「帰って早速開幕負け観るのは」
ファンとしてはだった。
「落ち込みますね」
「外出で楽しんだんだからそう言うな」
「わかりました」
中西はこう答えた、だが。
とかく彼が観る阪神の試合はよく負けた、そして気付けばだった。
同じ関西の球団でも近鉄はこのシーズン強かったが阪神は相変わらずだった。それで部隊の中でもぼやいた。
「阪神何で負けるんですね」
「弱いからだ」
即座に返事が来た。
「当たり前だろ」
「いや、そう言われますと」
「あれだけ打線打たなくて勝てるか」
このシーズンもこう言われるのだった、下総にいる二曹、池田二曹に。
「近鉄みたいに打ってみろ」
「あのチームは打ち過ぎですよ」
阪神と真逆だった、当時の近鉄は。
「ピッチャー悪いのに」
「あれ位打ったらな」
それこそと言う池田だった。
「優勝出来るんじゃねえか?」
「じゃあローズと中村に阪神に来てもらえば」
「来る筈ねえだろ」
それは有り得ないというのだ。
「そんなのな」
「ないですか」
「あるか」
池田は即座に言い返した。
「そんなことはな」
「それは残念ですね」
「残念でも事実だろ、というか阪神の助っ人ってスカばかりだろ」
野手の方は相変わらずだった。
「たまにはいい選手獲得しろ」
「バースみたいな助っ人を」
「そうすればずっとましになるぞ」
まだ勝てる様になるというのだ。
「今じゃ無理だ」
「とてもですか」
「そうだよ、勝てるものか」
こう言うのだった、とかくだった。
阪神は二〇〇一年も勝てず特に中西が観た試合はだった。
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