第五章
[8]前話
この時のやり取りも終わったが結局電話は牧野の方からかかった。だが牧野は中西にいつもの返し言葉は言わなかった。
その代わりに彼にこう言った。
「また来年だな」
「はい、そうですね」
「気を落としてないだろ」
「何、また来年ですよ」
実際にこう言う中西だった。
「ですから」
「そうか、じゃあな」
「また来年です。それと」
「何だよ」
「またお会いしましょう」
「ああ、そうだな」
「それでお会いした時は」
中西は牧野に笑って話した。
「阪神日本一になってますよ」
「おう、最後の試合の九回で追いつかないホームラン打って負けるんだな」
「広澤ですか」
「それで負けるんだろ」
「負けませんよ、絶対にです」
「阪神日本一になるってんだな」
「はい、一九九七年のヤクルトみたいにあっさり」
「おう、一九九七年の西武みたいにあっさり負けるんだな」
牧野は中西に即座に返した。
「そうなるんだな」
「逆じゃないですか」
「同じネコ科だからいいだろ」
「よくないですよ、確かにあの時の西武あっさり負けましたけれど」
下馬評で最初からヤクルト有利と言われていたというがだ。
「西口ホームラン打たれて松井稼頭央殆ど走れなくて」
「強み全部封じられてな」
「本当にあっさり負けたじゃないですか」
「だからそういう風に負けるんだろ」
今度シリーズに出てもというのだ。
「そうなるんだろ」
「なりませんよ、絶対にです」
「今度は日本一か」
「そうなりますから」
「ずっとそう言うんだな」
「はい、じゃあ今度会った時は日本一です」
「なれたらいいな」
牧野も優勝したからにはこう言った、だが二年後二人は再会したが牧野はこの年の日本シリーズのことを中西に笑って話した、そのあまりものネタ振りを言い中西はまた来年と言ったが来年今年のシリーズを再現するんだなと返した。
阪神教 完
2018・11・23
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