生贄の祭壇
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ウソップのツッコミが炸裂した瞬間、アキトが脇目を振ることなくテラスから飛び出した。
宙を踏み締め、大気を突き抜け、"超特急エビ"に連れ去られるメリー号へと突貫する。
此方に向かうアキトの姿をチョッパー達が歓喜の叫びを上げる。
メリー号を追従する形で大型の空魚達が口を開け、追撃している。
船からの脱出も封じ、"生贄"を確実に"生贄の祭壇"へと誘う寸法、実に用意周到な事だ。
刹那の思考を終えたアキトが眼下を見下ろし、拳を握り締め、能力を発動させる。
力強く握りしめた拳に重点的に能力を発動させ、一点に斥力の力を集束させる。
そして純粋に眼下の空魚へと突き出す。
ただそれだけ
アキトの研鑽された正拳突きと能力が重なり、集束された衝撃波という名の空拳が生じる。
その視認不可能な空拳は瞬く間に空魚達を軒並み殲滅させた。
歓喜の余り抱き付いてくるチョッパーをアキトは抱え、メリー号へと降り立つ。
「空魚達はこれで殲滅されたわ!次はメリー号を何とか止めないと!」
「いや、無理だな。この速度で進むメリー号を止めてしまった場合、メリー号は放り出されてしまう」
「それにメリー号を抱えている生物の両腕が船に食い込み、穴が開いているわね」
空魚達の殲滅、その奮闘虚しくメリー号は"生贄の祭壇"へと誘われていった。
それはルフィ達の空島での新たな冒険の始まりを意味していた。
▽▲▽▲
生贄の祭壇
罪人達を裁断し、神の供物として奉納する祭壇
裁断にはメリー号が静かに鎮座している。
「……特に無いんですか?」
悲惨な過去など特に存在しない。
両親が赤子の時に蒸発したとか、孤島に置き去りにされたとか、育ての親を海賊に殺されたとか、そういった残酷な過去を背負っているわけではない。
「本当に無いんですか?」
ビビが再度アキトに尋ねる。
うん、特に何もない
「いや、"うん"?ア、アキトさん……?」
「アキト……?何か口調変じゃないか?」
チョッパーがアキトの口調の変化に戸惑いの声を上げる。
生贄の祭壇にて暇を持て余していたビビはアキトの過去について尋ねていた。
だが、ビビの方が余程過酷な人生を歩んでいることは間違いない。
一国の王女として国を背負い、敵の組織に侵入する、誰もが出来ることではない。
祖国を一心に愛し、愛する母国の為にに献身するビビを心より尊敬する。
そんなビビのことを自分はとても素晴らしい女性だと思っている。
アキトは自身の本心を言葉を飾ることなくビビに伝える。
自分は少しばかり絶海の孤島で寂しかった程度の過去なのだ
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