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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
一族の物語 ―交わした約束― @
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になった山羊と主人は即、飛んできた耀も乗せてその場を離れようと駆けだす。

「ひとまず逃げ出してみたけれど、どうするの?」
「逃げられる限りは逃げ続けて、できるなら遠距離から攻撃する。近づかれたら……」
『私が盾になり立てこもる、でしょうか?』
「うん、怖いからそうはしたくないんだけど」
『時間稼ぎが目的であれば、悪くはないでしょう。もちろん、いい手でもありませんが』

アルマは自ら提案しない。あくまでも彼女たちが考え付いていることを口にするのみ。あくまで自分たちの挑戦であるためそれに文句は言わず、自分の手札を再確認する。
一輝の全力、それに対して格で対抗しうるモノは『大鵬金翅鳥(ヴィナマ・ガルダ)』、『原初龍・金星降誕(ケツァルコアトル)』、『麒麟の矛』の三つくらい。しかし最強種の顕現はタイムリミットがあるという点から持久戦には向いておらず、そもそも効くのかすら分からない。原初の火は覇者の光輪に勝てないことが証明されているし、対神対龍対悪への絶対的優位もブラックボックスの霊格に対して通用する確信が存在しない。そうでなくともこの二つの恩恵が「火」の恩恵である以上、「火取り魔」という火への概念的優位を保有する妖に食われておしまいだ。

「おーい、逃げんなよ面白くねぇ!」
「うるさい、こっちも作戦なんだよ!」

言いながら下を見ると、そこには巨大な蛇の頭に乗る一輝の姿が。翼を持つ大蛇、すぐさま記憶から引っ張り出される名前はパロロコン。レティシアのギフトゲーム、そこで巨龍に縛り付き捕えていた地震の神格を持つ蛇だ。神としての信仰も保有している。

「マズい、あれはその気になれば飛んでこれる」
「つまり、こっちが宙にいることでの優位は無いわけね」
「まあ、一輝はその気になれば飛べそうだから何とも言えないけど‥…」

それでも、単体で突っ込んでくるのと蛇込みで突っ込んでくるのとでは意味が違う。質量の違いはそれだけで大きな武器だ。潰せるのであれば、あの乗り物は早い段階で潰しておきたい。

「飛鳥、手持ちの手段でなにかいいのある!?」
「あんな大蛇を何とかできる手段なんて、ディーン以外ないわよ!耀さんは!?」
「あるにはあるけど、リスクが高すぎるかな!」

ある種八方塞である。しかし逃げ続けられる間は逃げ続ければ勝ちなのだから、注意して逃げ続けるやり方でも問題はない。逃げ続けて、何か遠距離から対処できる手段が思いついたらチマチマ攻撃して逃げる時間を追加で稼ぐ。

『二人とも、捕まって!』

と、そこで声。同時に自身の乗っているモノが大きく動く。飛鳥と毛皮を強く掴みながら何があったのかと前方を見ると、是害坊と白澤が宙にいる。これを避けたのだと判断しつつ下へ視線をやると、九尾の狐、八面王の姿が。完全に囲まれてしまっ
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