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銀河英雄伝説〜其処に有る危機編
第十三話 この世には知らない方が幸せな事も有る
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塞の事に気を取られ過ぎたか……」
フレーゲル内務尚書、ゲルラッハ財務尚書の顔面が強張っている。

「今回の反乱鎮圧もヴァレンシュタイン中将が作戦を立てたと聞いております。真でしょうか?」
「卿も知りたいか、ゲルラッハ財務尚書」
「……」
ゲルラッハ子爵が国務尚書と我らを交互に見ている。国務尚書が低く笑い声を上げた。禍々しい笑い声だ。明らかに嘲りが有る。国務尚書の想いが分かる。愚か者共め、何故知ろうとするのだ? この世には知らない方が幸せな事も有るのに……。

「この部屋での会話は他言は許さぬ」
二人が頷いた。
「反乱が起きる二週間前に作戦は出来上がっていた。フェザーン、アルテミスの首飾りの事も全て想定してあった。後は卿らの知る通りだ。反乱は瞬時に鎮圧されマクシミリアンは領民達に殺された」
呻き声が上がった。二人の尚書が震え上がっている。犠牲者が増えたか。これからは抜け毛の心配をするのだな、同志よ。

「内務尚書」
「はっ」
「フェザーンの接触を受けたと思われる貴族を洗い出せ、そして調べよ」
「はっ」
フレーゲル内務尚書が畏まった。調べよという事は潰すだけの材料を用意しろという事か。フェザーンに接触するのは危険だと貴族達が理解すれば少しはフェザーンの蠢動を抑える事が出来るかもしれない。マクシミリアンの死に様も有る。

「財務尚書、カストロプから接収出来る財産は?」
「現状調査中ですが四千億帝国マルクは下らぬものと思われます。それと派遣した者達がカストロプの財政状況を確認しましたが自治領主府との繋がりは見えなかったそうです」
「分かった。早急に接収を完了させよ」
「はっ」
四千億帝国マルク、そう聞いても何の感動も驚きも無い。誰一人として声を上げなかった……。



帝国暦487年 11月 17日 オーディン  士官学校   エーリッヒ・ヴァレンシュタイン



『今回の内乱鎮圧の功により卿は大将に昇進する事が決まった』
スクリーンに映る軍務尚書は不機嫌そうな顔をしている。明らかに俺の昇進を喜んでいない。
「レポートを出しただけです。そのようにお気遣い頂かなくても……」
『そうはいかん。信賞必罰は軍のよって立つところだ。功を挙げた以上、それを賞するのは当然の事であろう』
以前もこんな会話をしたな。

『それに卿を昇進させなければ反乱鎮圧に当たった者達を昇進させる事が出来ぬ』
溜息が出そうになって慌てて堪えた。別に俺だけ除いて昇進させても俺は不満に思わないんだけど。
『それと卿には双頭鷲武勲章が授与される』
「あの……」
『辞退は許されぬ』
「……」
そんな怖い顔で睨まなくても……。そう言えたらどれだけすっきりするだろう。

『今回卿の挙げた功績は他の追随を許さぬ。それをはっき
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