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逆さの砂時計
純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 11
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「(聖者の天秤)」
「(……え?? 『彼ら』、プリシラとは親交がなかったのですか??)」

『聖者の天秤』

 プリシラが相手を『生贄』か『庇護対象』か見定める為の儀式の名称だ。
 いつからか自然とそう呼ばれていたので、誰が名付けたのかは不明。
 幼少期から一緒に生活している人間は別として。
 大抵の場合は三度目の再会までに。早ければ初対面で裁決が下される。
 即ち。

「(まともに会ったことがない相手を利用したんですか、あの女性)」
「(いや。プリシラが()()を呼んだのは、アレの性格や能力が信用に値する『庇護対象』だからだ。まだ天秤に掛けられてないのは、アレに付いて来る主戦力の代表のほう。まともにどころか、今日が初顔合わせだぞ)」
「(??  それは……っ!)」

 なんてことだ。
 二千人に一人居れば幸運とされる希少な『庇護対象』が思わぬ所に居た。
 アルスエルナ国内の『生贄』達にも、希望は残されているというのか。
 いやしかし、彼の傍に居る人間が未裁定とあれば、油断はできない。

 『庇護対象(かれ)』が『生贄』で囲まれている場合。
 プリシラは、ためらいなく『庇護対象(かれ)』を保護するだろう。
 助けを求める『生贄』の声は遮断され、ヘタをすれば『庇護対象(かれ)』自身が無自覚なまま、プリシラのお仕置き(おあそび)を助長してしまう。

「(どのような方なのですか? 今日、初めて顔を合わせる方は)」

 できれば『彼ら』には『庇護対象』であってほしい。
 震える手で慎重に鱗片を剥きながら、そう願わずにはいられない。

「(三十代後半の貴族の男で、公私共々真面目で品行方正。職務に関しては残酷なほど冷徹だが、普段は機知に富んだ好青年だ)」
「(問題はなさそうですが、何か引っ掛かりがあるんですね?)」
「(ああ。決定的な言動は見せてないが、さっきからそこでちょろちょろと動き回ってる第一補佐、ミートリッテに惚れてる。アレと同じく、な)」

 私の手から百合根が零れ落ちた。

「(なんと、いう……)」

 頭を抱えそうになった両手を膝の上でぐっと握り締め。
 ローテーブル上をころころ転がっていく白い塊を虚ろな目で見つめる。
 状況は絶望的だ。
 色恋沙汰なんて、周囲への影響過多な移ろいやすいもの!
 プリシラにとっては、極上のおつまみではないか……っ??

「(しかも、アレのほうが重症だ。三人共が小綺麗な独身って点も痛い)」

 まさかの、()を含む三角形??

「(『生贄』回避不可じゃないですか!)」
「(言っただろ。職務に関しては残酷なほど冷徹だって。()()への忠誠心と立場への矜持はわりと本物(ガチ)なんだ。そ
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