純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 11
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れらの問題を解決する為プリシラが白羽の矢を立てたのは、中央区司教の管轄下にある王都内の孤児院だった。
国からの経常費の他、王侯貴族や商人や、一般民などからも出資・寄付を受け取り、アリア信仰が運営を一任されている国内各地の孤児院には、通常零歳から十九歳までの子供達と、建物や生活用品の管理係、及び、子供達の教育係を兼任する担当神父数名が一緒に住んでいる。
後見人や就職先を見つけるまでの保護施設兼、職業訓練所的な意味合いが強い場所だが、保護された子供達に向けられる世間の目は非常に冷たい。
敵国の憎々しく卑しい血が混じっているかも知れない。
肉親が子供を捨てるろくでなしなら、その子供もろくでなしに違いない。
実の親が居ないだけで血税を宛がわれ、命の安全まで無償で貰ってる。
どんなに貧乏な家でも親が生きてる限り税金を払わなきゃいけないのに、アイツらはずる賢く納税の義務を逃れて、毎日のんきに笑いやがる。
等々、冷遇の理由は様々だ。
あるいはもっと単純に、生活水準の違いから生じる価値観の相違などが、税金を納めてやっている国民の優越感や危機感を煽り、何の対価も払えない孤児達を賤しい生き物だと思い込ませ、見下させている。とも考えられる。
こんなこともできないのか。
こんなことも知らないのか。
こんな物も手に入れられないのか。
常識が足りてない、可哀想に、こうはなりたくないもんだね、と。
残念な話ではあるが。
そうした蔑視は、アリア信仰の内部にもしっかり根付いていたりする。
中央教会で修業中の私に、人目も憚らず『汚らわしい孤児』と吐き捨てる同僚が居た時点で、その根深さには察しがつくというものだ。
故に、孤児院の扱いは表向き良くもないし、悪くもない。
出資者や運営者が慈悲深く見えるように。
有能な人材を育てていると見えるように。
これも社会貢献なのだと思われるように。
信徒の皆さんも、面倒事を任されて大変ねと、同情を集め。
孤児達や資金の流れに向かう非難の目を操作しながら適度に放置する。
だが、その実態は、担当神父達による資金横領、貴族や商人を相手にした密かな人身売買、一般市民からの一方的な虐待、犯罪組織の隠れ蓑なんかに利用されている事例も少なくなかった。
王都の孤児院も例に漏れず。
ハーネス元大司教が中央司教に就いたばかりの頃は、悪質極まりない担当神父に蝕まれ、子供達は皆、劣悪な環境で育てられていたらしい。
強制的に犯罪の片棒を担がされていた彼らを救い出して孤児関係の空気を総入れ替えしたのが、先代国王とハーネス元大司教だったとか。
弱者救済の為の法を悪用
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