「そう驚いていただけると、わたしも非常に嬉しいです」
[2/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
……まあいい、こちとら時間がねぇんだ。この店で一番いい武器をよこしな」
「一番いい武器……というと、どんな武器でしょうか?」
「え、あ……一番いい武器って言ったら一番いい武器だろうが! それともこの店にはクズ鉄しかねぇのか!?」
「わかりました。『一番いいものを頼む』、というやつですね」
いきなり高圧的に騒ぎだしたサラマンダーに、プレミアの仕事ぶりを眺めていたユイは不信感を隠さなかった。そんな人を入れてしまったのはユイ本人のため、注文通りにストレージを探すプレミアにひっそりと近づくと、お客様に聞こえないように耳打ちして謝った。
「ごめんなさい、プレミア。面倒な人なようです……」
「いえ。むしろ『なかま』です」
「仲間……?」
「お客様。こちらなどいかがでしょうか?」
ただしプレミアは気にした様子もなく、むしろ仲間などと上機嫌な様子だった。怪訝な様子のユイには答えることはなく、プレミアはストレージからシンプルな両手剣を取りだし、お客様の机の上へと置かれていた。。それはショウキが以前に造っていた武器であり、確かにこの店でも最高級の武器といっても過言ではなく、お客様も少し目を見開いた。
「見た目はまあまあじゃ……ひゃっ!?」
とはいえ最高級な武器だけあってステータスの要求値も最高級であり、両手剣を持とうとしたお客様はすぐさま床に転がることとなった。今まではサラマンダー特有の高い身長からプレミアを見下していたが、すっかりと逆の立場になって。
「な、んだよこれ、不良品じゃ――」
「やはりです。注文の時は『一番いいもの』ではダメです。扱えないのですから」
またお客様が文句を言いつけようとする前に、プレミアがどこか懐かしげに語りだした。彼女もかつては店で『一番いいもの』を頼み、扱うことも出来ない重い斧を買ってきた苦い記憶があったからだ。ただしもはやそれはいい思い出であり、同じ勘違いをしている仲間であるお客様にも、同じ思い出を共有して貰おうと思ったのだ。
「なんでだよ! このゲームはレベルがなくて――」
「レベルがなくても要求ステータスはあります! ……初心者さんですか?」
さらにユイからの追撃に、お客様は図星だとばかりに押し黙った。顔を羞恥に真っ赤に染めつつ、逃げようとしたのか扉の方をチラリと見たものの、あいにくとすでにユイがそちらを塞ぐように移動済みだ。プレミアに謝るまで通さないとばかりの気迫に、お客様は観念しつつ立ち上がった。
「すっ……すいませんでした!」
「なにがでしょう?」
そうしてお客様が立ち上がるなり、見事な謝罪が炸裂していたものの、プレミアにそれは通用しなかった。
「どうぞ」
「あ……どうも」
それから
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ