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ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第29話 灼熱の吹雪
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う。

 再び揺らぐ視界の先に、エアードの姿。何か分かった瞬間に、エースの意識は覚醒し、開幕した時よりもさらに早い一発をお見舞いする。

「なんだこの力、でたらめじゃないか……っ!!?」

 先程までふらついていたはずの相手が、自分の目の前にいる。本来なら属性の関係上速度では圧倒出来るはずのエースが、今はアドバンテージを持っている。

 その2つの事実は、目の前の相手の姿を悪魔に変えた。

「この忌み子が……悪魔がぁっ!! 『ヴィント・テンペスタ』!!」

 それが言葉として、詠唱と共に口から吐き出される。相手を近づけまいと放った魔法は風の渦を大量に発生させ、辺りの木から葉っぱを根こそぎ吹き飛ばしていく。

 しかし、エースは全く動じることなく、全く同じ魔法を逆向きの風で放っていた。数秒後に吹き荒れながら重なった2つの魔法は、打ち消し合って綺麗に消滅する。思い通りにならない現状に、エアードは苛立ちを吐き捨てた。

「僕の思い通り、いなくなればいいんだよ……。お前がいなくなるだけで、世の中はもっと幸せになれる……!」

 それは、この世の中の3割ほどが信じており、それらを加えた9割近くの人が伝記や絵本で教えられてきたあろうことを、都合よく言い換えただけ。本来は、『同い年の兄弟が争いによって国土を荒廃させた』という、権力争いを描いただけのこと。

「それは、お前の妄想だろ」

 だからこそ、エースがこう言い放てば、その慣習の中疑うことなく生きてきており、現状に不満を持つものは苛立つしかない。安寧の地を奪われるも同然なのだから。

「口答えをするな人間擬きがぁぁ!!」

 正直言って言葉を吐き出すのすらも辛く感じる中で、エースはエアードの言葉をバッサリと切り捨てた。

「お前がどう思ってるとか、何がしたいとか、はっきり言ってどうでもいい」

「ならば、僕の前に立つなぁぁぁっ!!」

 フォーティスが取り落とした剣と自らが持っていた剣を振り上げ、風の勢いと共にエアードが突進をする。

「断る!」

 エースは、再び生成した二振りの剣で応戦する。氷と鉄がぶつかり合うのを挟んで、両者の視線がぶつかる。傷だらけでぶつかり合う両者は、一歩も譲らない。

 一方は、世界が信じる考えを、己の欲望に織り交ぜて。もう一方は、ただひたすらに、未来にある己の欲望だけを見て。

 ただひたすらに、自らの願いを叶えようとしている。

「お前がいなければ……お前さえいなければぁっ!!」

 思考のリミッターが外れたのか、叫びながらエアードが迫る。

「僕の想いは、フローラさんに届いたかもしれないのにィッ!!」

 それがきっと、自分に刃を向ける本当の理由なのだろう。双子に、ではなく、エース・フォン
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