暁 〜小説投稿サイト〜
ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第29話 灼熱の吹雪
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た一瞬の隙は、今のエースにとっては十分すぎた。フォーティスへと急接近し、そのまま攻撃を繰り出す。

「ぶっとべ!!」

 フォーティスの右横の位置から、風を纏った拳を繰り出すエース。全体重を乗せて隙だらけの身体に放つ拳は、肉の感触をダイレクトで伝えるが、そんなものはすでにお構いなしの領域に入っている。

「ふぐおっ……!?」

 横っ腹を殴られたフォーティスはついにダウンの兆候を見せ始めた。よほど深く入ったのかふらつきながらどうにか踏みとどまっている様子である。

 当然のことながらその隙を狙っているエアードの魔法の詠唱がもう終わりへと来ていたが、掌に生成した小さな氷クナイをエアードに投げつけることで一瞬だけ気をそらさせて、発動はファンブルさせる。

「ぐううぉぅ……」

 容赦ない攻撃の雨に、必死にこらえるフォーティスだったが、終わらない攻撃には反撃の糸口がつかめなかった。エアードも狙いを定めているが、あまりにも位置が細かく変わるために照準が定まらない。

 
「何だよテメェ……悪魔か何かかよ……」

 止んだ拳の雨の後にあったのは、息絶え絶えとなったフォーティスの姿。氷で殴られたことで破けたローブがその攻撃を物語っている。エースも魔力を相当使ったが、元々手加減して勝てる相手ではない。

「『リオート・ツインキャノン』!!」

 ラストアタックとした攻撃も容赦はせず、エースの生成した氷塊が2つ、それぞれ1つずつフォーティスとエアードの方へと発射する。ダメージの蓄積により避けることの出来なかったフォーティスは、その勢いのまま森の中を吹っ飛んでいった。

「……ぐほぁ」

 そしてそのまま、地面に倒れこむ。容赦なく叩きのめされて、現実を一瞬見た後に、その意識を切り離した。


「ぐああああっ!?」

 それを見届けるように見てしまったことが、エースに出来た明確な隙であった。飛んできた魔法が、エースの魔力を奪っていく。

「1人倒しただけでいい気になってるからですよ」

 直撃を避けていたのかダメージの増えていない様子のエアードは、自分の魔法が当たったことを見てやや明るさを帯びた声でそう言い放った。

 エアードが唱えたのは、先ほどミストにも猛威を振るった魔法『ヴィント・ダウンバースト』。『ヴィント・ドレイン』と同じく相手の魔力を奪う魔法だが、ドレインと違って相手の魔力を周囲に霧散させるだけである。しかし、戦闘中において効果は高いことに変わりはない。


 攻撃を受けたエースは、一度に魔力を大量に失ったことで急激なめまいと吐き気に襲われた。たまらず地面に膝を突き、胃の中のものを吐き出すように咳き込む。視界に映るものが歪み始め、さらに視界がぐるぐると回り、攻撃を受けたのか身体が宙を舞
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