85話:蠢動
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「卿の言い分ももっともな話だが、さすがに政府と軍を相手にするには、ブラウンシュヴァイク公爵家の一門と寄り子だけでは難しいな。その辺は何か考えているのか?」
「もちろんだ。まずはブラウンシュヴァイク公爵家とリッテンハイム侯爵家、双方に繋がりがあるコルプト子爵に繋ぎを取ってもらう。それを軸に門閥貴族4000家をまとめるのだ。卿だけに話すが、フェザーンも軍部に持っていた利権から締め出されつつあり、今の有り様を必ずしも歓迎していない様子なのだ。フェザーンの協力があれば、資金面でも問題は無い。十分対抗できるだろう?」
「そこまで考えているなら問題なかろう。私も卿に協力しよう。この件が成功すれば叔父上も次代の人材が育っていると安心されるはずだ。我らの実力を示すときがきたやもしれぬな......」
シャイド男爵もその気になってくれた。後は時間をかけて門閥貴族を集結させればよい。立太孫の儀式が行われるような事があれば困ることになるが、要は妨害工作を我らがすれば良いだけだ。フェザーンの協力があれば、宮内省を動かす事も容易だろう。ついに帝国を我らが門閥貴族の手に取り戻すことが出来る。それがなった暁には、私の功績は揺るぎないものになる。
そうすればブラウンシュヴァイク公爵家を継ぐことも夢ではなくなるだろう。そもそも我らがブラウンシュヴァイク公爵家を差し置いて皇女の後見人になるなど、リューデリッツ伯を始めとする軍部貴族は増長し切っている。一度弁えることを教えなければなるまい。
宇宙歴792年 帝国歴483年 11月上旬
首都星オーディン 国務省 尚書執務室
財務次官 ゲルラッハ財務次官
「やっと政府内も落ち着いたと思えば、今度は皇太子殿下が崩御されるとはな。恐れ多い事ではあるが、結局混乱をもたらすだけもたらして、最後に紛争の種を残して逝かれるとは......。故人を悪く言うのは不本意ではあるが、この宇宙であの方に恩恵を受けた者はおそらく一人もおるまいな。財務省の方は如何じゃ?国務省にまでカストロプ公爵の強欲ぶりが鳴り響いておるが......」
「財務次官として、お詫び申し上げます。率直な所、爵位の差もありますし、私が歯止め役になるにも限界があります。現在はあくまで政府発注案件からのリベートの強要に納まっておりますが、年々隠す素振りが無くなりつつあるのも事実。国務省どころか宮中全体で公然の秘密でありましょう。ご期待に沿えず、申し訳ございません」
「すでにルーゲ伯から罷免と財産の差し押さえには十分な証拠があるとせっつかれておる。ただ、まだ話は下りてきておらんが、皇太孫であらせられるマクシミリアン殿下の事もある。立太孫が行われる時期に、政府内の不祥事を明らかにするわけにもゆくまい。時期と状況を今少しわきまえる男なら良かったのじゃが、む
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