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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
84話:派閥
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年 帝国歴483年 8月上旬
首都星ハイネセン 歓楽街
ダスティ・アッテンボロー

「アッテンボロー、お前さんも無事で何よりだったな。ミンツ少佐の事があってから妙な胸騒ぎがしていてな。ヤンもラップも無事で何よりだ。昇進も大事だが、命あっての事だからな。では皆が無事に帰還した事に!そしてミンツ少佐に......」

キャゼルヌ准将の音頭に合わせてクラスを少し掲げ献杯をする。俺は面識を得てはいないが、所属している第8艦隊の司令部立ち上げ期に後方勤務本部から出向されていた方らしい。特に紅茶を入れるのが神技で、紅茶派が増えるきっかけになったと聞く。ロボス提督の悪癖である『楽観視』がもたらした、本来必要なかった犠牲になられた。
戦功を焦って足元を疎かにする提督と、それに警告しない参謀陣。惜敗を勇戦に塗り替える国防委員会に、主戦派に迎合する大手報道機関。最低でもけん責処分にはすべきだろうに、口頭注意で済まされたらしい。戦闘宙域で哨戒に手を抜くなど、そもそも士官学校の候補生でも論外の行為なはずだ。そんな事がまかり通ってしまう今の軍部に、憤りを覚えるのは俺だけではないだろう。

「彼の入れるお茶は本当に美味しかった。もう飲むことが出来ないとなると、尚更惜しく思います。それにあれほどの技量を持ちながら、人に振る舞うのを喜びとする方でしたし、残念ですね」

「キャゼルヌ准将、今回の一件は戦闘部隊がすべきことを怠り、結果、後方部門が被害を受けた形になります。再発防止は当然としてどんな受け取られ方をされているのでしょうか?これがきっかけで溝が出来るようなことになれば、それも問題だと思うのですが......」

ヤン先輩がミンツ少佐を惜しみ、ラップ先輩が後方部門との軋轢を憂慮される。だが一方的にリスクを押し付けられて黙って受け入れるだろうか?そうでなくても、戦力が充足していないことを理由に、補給部隊は護衛がつかない状況にある。にも関わらず哨戒を怠って予定にない補給を申請するなど彼らからすれば自分たちの身の危険を考慮しない行為に見えると思うのだが......。

「うむ。その件だがな、お前さんたちの艦隊司令部ではそう言う事は無いだろうが、計画に無い補給を行う場合は護衛戦力を回さなければ受けないことになりそうだ。計画通りの補給でも哨戒がされているか、確認される事になるだろうな。今回の一件に関しては『必要ない犠牲だった』という事よりも『すべきことをしなかったにも関わらず口頭注意で済んだ』ことに憤っている人間が多いな。
配慮をせずに死なせても構わないと言われたに等しい。ならばこちらも自分達で安全を確保するという感じだな。正しい有り様ではないだろうが、俺も部下に責任がある。こんな形で戦死させられるならそれなりに配慮する責任があるからな。お前さん方にはすまんとは思
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