第15話
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ら探さなくてはなるまい。
そう考えたマ・クベは、ある軍人達のことに思い至った。幸か不幸か、スペースノイドの中にはアースノイドを憎悪している人間が一定の数だけ存在している。この層は主張の触れ幅が他の層に比べて狭く、主張はほとんど統一されている。この層の基本的な主張、他の層からすれば極限まで振り切ったソレは、アースノイドを絶滅させるというものだ。
タカ派の枠からも逸脱した過激派として軍内部でも問題視されている連中だが、彼らの多くは特定の派閥に所属していない。極端過ぎる主張の彼らを好んで抱え込みたがる上級将校がいないためだ。
主張が過激な為に本人も影響されてしまうのか、はたまた持って生まれた性状か、彼らは徒党を組んで影響力を発揮するだとか、軍内部で台頭して派閥を形成するだとか、そういった政治的行動を取ろうとしない。協調性過少で孤立しているのだ。同意見の者とも連携しようとしないのだから、彼らの政治的無関心さはマ・クベのような人間には理解出来ない。
理解出来るのは、孤立している過激派は他者の紐つきではないということだ。これは、情報の流出を抑えたいマ・クベにとって非常に都合が良い。
ほとんど咄嗟に、過激派から選抜しようとマ・クベは決めていた。在庫整理も兼ねて全員送ってやりたいくらいだが、過激派は総じて能力が高く、軍全体で見れば爪弾きにされていても、その攻撃性、積極性から、部隊の中では頼られることも多い。ここは部隊の中でももて余すような問題児を送るべきだろう。
「……わかった。貴様の言う人材には心当たりがある。選りすぐりを送ってやる」
マ・クベはそう言うと、大きくため息を吐いた。
ザクUを一機失った。地上での生産体制を構築出来ておらず、手持ちの戦力でやりくりしなければならない降下部隊にとっては大きな痛手だったが、連邦軍戦車大隊と引き換えと思えば高い買い物ではない。優秀なパイロットの喪失はそれ以上の損失だが、他派閥の犬(誤解)を始末し野良犬を利用しやすくなったのだから、こちらも得をしたと考えて良い。問題は野良犬がどこまでこちらの指示に従うかだが、もともとリリアナは反地球連邦を掲げているのだし、敵がいる間は協力しあえる筈だ。
驚愕と心労で寿命は何年も縮んだし、ザクとパイロットを1セット喪った。オデッサ基地に帰れば全力で投げ棄てた仕事の山が待っている。各方面軍を編成中の少将や准将、直属の幕僚団。置き去りにしてきた関係者へのフォローなどを考えると頭が痛いが、野良犬との協力関係はそれ以上のリターンが見込めるのだ。大勝利と言って良い。
賭けに勝ったと内心で涙したマ・クベだが、彼は一つ忘れている。交渉下手な野良犬相手の賭けに勝ったのは事実だが、決まったのはこれからのことで、これまでのことが精算されたわけではないのだ。舞い上がるマ・クベを野良
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