第17話
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ていうのは……私達が独自に保有するモビルスーツと覚えておけば良いさ」
さらっとした説明だったが、今まで充分に驚かされたレンチェフを更に仰け反らせるには充分だった。
モビルスーツはジオンの切り札だ。国力でジオンを圧倒するとされている地球連邦ですら、未だに正式配備どころか試作機の実戦投入すらできていない。そのモビルスーツを一組織が保有していると言うのだから、そのふてぶてしさで上官を発狂させてきたレンチェフといえど、感情を隠せないほど狼狽した。
これだけで派遣を決めたマ・クベと派遣されてきたレンチェフの距離感を推し量るには充分なものだったが、良くも悪くもそんなことを気にする野良犬ではない。レンチェフの百面相に全く反応せず立ち上がった。
「さて、ミスターに期待はしているが、期待通りかどうか、まずは腕前を見せて貰おうか。こっちだ」
「おっ? おう」
相次ぐ衝撃秘話と急な話に一瞬戸惑ったレンチェフだったが、腕前を見たいと言われて生来の反骨が蘇った。思想に難ありとしてテロ組織に編入されたレンチェフだったが、それほどの問題児でありながら追放も粛清もなかったのは、ひとえにモビルスーツの操縦を含むレンチェフの戦術能力の高さ故だ。得意な内容で試験をすると言われたことで、反骨心と共に自信と笑みも戻って来る。
「あんたの期待値が幾らか知らないが、期待値以上を見せてやるよ」
先導する野良犬を追いながらつい叩いたレンチェフの軽口を聞いて、それを真に受けた野良犬はからからと笑った。通路に気の良い青年の笑い声が反響する。
「そりゃあ良い」
「ああ、幾ら期待してくれても構わねぇぜ」
やる気充分で自身の拳と掌を打ち合わせると、乾いた音が野良犬の笑いの蹟を掻き消した。自身の後ろに続く女性兵士が向ける視線と表情にレンチェフは気付いていない。
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