第17話
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本人の知らない内にテロ集団に組み込まれた事を知って嫌な汗が顔にまで出てきたレンチェフに構わず、ストレイドは話を続ける。女性兵士の補助付きで。
「私達はあくまでフリーの反地球連邦組織だ。縁あって、ジオンと協力することになったわけだけど、ジオンの下に付いた覚えはない。ジオンのナントカカントカ戦闘団……」
「独立重駆逐戦闘団」
「というのは、いわばダミーだな。書類上は存在する。現実に人員も装備も存在する。活動は不明。実際に暴れるのはリリアナで、ナントカカントカが補給を……」
「独立重駆逐戦闘団」
「が補給を受けると、そのまま私達の報酬になるという寸法だね」
」
聞けば聞くほど頭がくらくらしてくる話である。椅子に座っていなければひっくり返っていたかもしれない。
開戦当初、ジオン公国軍は旧来の戦時国際法の一切を無視して戦争を遂行した。地球連邦政府が成立して以来、主権国家はすなわち地球連邦政府のみであり、ジオン公国は独立国家として公的には認知されていなかったからだ。国家として認められていないなら、条約を批准していないなら守る必要などないという理論だ。
かつて不平等条約を撤廃したかった極東のある国が、「大陸国家と戦争をするとなると上海や香港を巻き込むかもしれませんね〜。何しろイエローモンキーは野蛮な後進国ですからなぁ! お悔やみ申し上げますザマァ。マッハで蜂の巣にしてやんよ」と同じく島国の大帝国を脅して列強の一員と認めさせ、列強として対等なのだから不平等条約はおかしいという理屈で条約を撤廃させた手口に似ているかもしれない。
違うところは、その国は行儀よく戦って国際社会で一定の評価を得るに至ったが、ジオン公国はブラフにとどまらず実際にやらかしたところだろう。地球連邦政府以外に主権国家が存在しない以上、外聞も国際協調も外交圧力もこの世界には存在しない。そもそも地球連邦政府の成立は、対立勢力を軍事的に打倒した同盟を核としている。そのため、地球連邦政府には連邦議会と連邦議員に代表される民主主義国家という表看板の他に、旧国家群の軍事同盟、軍閥の寄合所帯という側面を持つ。軍事力によって成立した政権に対しては、軍事的打撃を与えずして交渉など望むべくもない。よって蛮族さながらのノールール戦法で打撃を与え、交渉の場に引きずり出した。
勿論、地球連邦政府の立場ならノールールの蛮族はテロリストとしてノールール返しで鎮圧も可能だ。それでも結局、地球連邦政府は折れた。スペースコロニーは宇宙に300近くもある。一つ二つでこの有り様なら、それ以上となればどうなるものか? それよりは戦時条約を結び、真っ当な戦争をする方が良い。特に軍部首脳の内ではレビル中将やゴップ大将といったタカ派がこれを強硬に主張し、連邦政府内で短くも激烈な議論の末に認められた。
激論
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