第十話
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「ふふふ、すまない。しかしそのような君を見れるとは新鮮な気分だよ。≪聖女≫殿も喜ぶんじゃないかな?いや、もしかしたら……。」
「行くぞアリサ。時間の無駄だったようだ。」
「え、ち、ちょっと!?」
どれだけ言おうともからかう様な態度をやめないブルブランにウンザリしたカイムはアリサの手を取り壊れた街頭に向かおうとする。
するとブルブランはからかい過ぎたなと少し反省しその背中に声を掛けた。
「待ちたまえ。行くなら伝言とこれを持って行きたまえ。」
そう言いながらブルブランは取り出した物をカイムに投げる。
アリサの手を引き歩いていたカイムは立ち止まって街頭を地面に置き、振り向いてそれを受け取った。
カイムが受け取ったものは……
「これは……剣?」
「……これは返却した筈だが。」
「それは既に君の物だと彼女が言っていただろう。遠慮なく持っていっていいそうだ。」
「そうかよ。で、伝言は?」
「うむ、伝言はいずれ様子を見る為に君を訪ねるそうだ、色々と覚悟を決めておけとのことだ。ではまた会おう。」
「マジかよ……。」
伝言を聞きカイムは顔を引き攣らせた。
彼の中で最もマズイ人物がいずれ来るという事、それも剣を渡した上で様子と言う事は恐らくそういうことだろう。
「またやっかいな事になったぞ。」
「……ねえ、さっきから気になってたんだけど≪聖女≫とか彼女って誰?同一人物なんでしょう?」
「いやそんな睨まれる様なもんは無いよ、昔の剣の師匠さ。半端なく強いからボコされると思うと正直、な。」
「まあそういう事にしておいてあげるわ。ところでその剣はみせてくれないのかしら?」
「……このまま部屋に隠したりトリスタに宅配は駄目?」
「駄目ね、隠しても私が皆にバラすから。色々内容にオプションつけて。」
「ああもう分かったよ、ただし合流して手配魔獣の方に行く時な。」
「よろしい。じゃあサクッと修理しちゃいましょう。」
アリサの脅迫に音を上げたカイムは後で見せると約束し、それに満足したアリサは先導して壊れた街頭に向かう。
その様子にやれやれと首を振り、剣を背中に移し変えの街頭を持ち上げ後を追うのだった。
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