第5話 第六次イゼルローン要塞攻防戦
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同盟軍は12月7日から8日にかけての攻勢が失敗すると、致命的な損失が出ないうちに回廊から出て撤退すべきであるとの意見が主流となりつつあった。
今引けば戦略的にはともかく、戦術的には互角だったと言えるため、全体の姿勢はやや消極的になっていた。
9日、同盟軍旗艦アイアースの会議室で撤退方法に関する議論が行われていた頃、イゼルローン要塞を出撃したラインハルト艦隊2200隻が同盟軍の後背に出て退路を断つ動きを見せた。
<アドルフ>
遂にラインハルトが『反乱軍こちらにおいで作戦』を実行に移したな。
「見事な艦隊運動ですね、一部の狂いもない。しかし、反乱軍は2000隻の小部隊相手に何をやってるのでしょうか?」
「普通に考えればたかだか2000隻の部隊だけで退路を遮断するのは不可能だ。が、大軍にとって少数の敵軍に翻弄されるほどの屈辱はない。つまり、冷静になれないってことだ。だからああも簡単に釣られる」
ちっ、俺にはあんな艦隊運動できねー。
チート乙!
イケメンに死を!!
それにしても、この時の同盟軍には血圧の高いやつが多いのか?
「見ろ、あの指揮の統一を欠いた無秩序な追撃を。たった2000隻を30000隻が本気で追った挙句、巧妙に逆撃をくらって出血を強いられ、さらに猛り狂っている。正に馬鹿の極みだな。反乱軍がトールハンマーの射程内に誘い込まれるのも時間の問題だろう」
これを『火病《ファビョ》った』って言うんだろうな。
「トールハンマー、発射されました」
数千隻の敵艦が一瞬にして消え失せる。
艦橋に歓声が上がる。
「トールハンマー、第二射発射されました」
「敵軍、撤退を開始」
ようやく終わったか。
面倒な戦いだった。
報告書とかは参謀たちに任せて早く新作エロゲやらんと。
この前はリューネブルクのせいで結局できなかったからな。
* * *
12月10日 17時40分。
第六次イゼルローン要塞攻防戦は自由惑星同盟軍の全面退却をもって終了した。
同盟軍の戦死者は75万4900名。
帝国軍は36万8800名。
同盟軍はイゼルローン要塞攻略という戦略上の目標を達し得ず、損害においても帝国軍を大きく上回った。
一都市の人口に等しい人命が失われた結果、残ったのはトールハンマーが発動するまでは互角に戦ったという戦術レベルでの自己満足だけであった。
その後、原作とほとんど変わらぬ結果に胸を撫で下ろした貴族の坊ちゃまが居たとか居なかったとか……。
実に、どうでも良い話である。
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