第5話 第六次イゼルローン要塞攻防戦
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しいことは後ほど」
そう言って、ハプスブルク少将は去っていった。
いったい、何が起きたというのだ!?
<アドルフ>
「攻撃隊より入電、“ワレ敵強襲揚陸艦ヲ撃沈セリ。タダシ、シャトルノ脱出ヲ確認ス”とのことです」
ちっ、仕留め損ねたか。
この気にシェーンコップを始末しておこうと思ったが、流石は原作キャラ。
きっちり補正が効いてますがな。
…………
まあいい、強襲揚陸艦は撃破した。
やつらの私戦で一つの艦艇が沈められたんだ。
当分、謹慎だろう。
減給や降格もあるかもしれない。
できれば一生謹慎していてもらいたいがな。
* * *
第六次イゼルローン要塞攻防戦は完全に消耗戦に陥っていた。
互いに決め手を欠いていたが、そのまま戦局が推移し両軍の艦隊が消耗し尽くしても帝国軍にはイゼルローン要塞が残る。
その意味では――単に勝敗という見地から見れば、同盟軍にとって不利な状況であるといえた。
また、損害による艦艇戦力の低下だけでなく、負傷者の量産によって病院船の収容能力は限界に近づいており、補給物資は著しく減少していた。
一度混戦に陥った以上、むしろこの状況を利用してトールハンマーを使用させぬままに全軍を撤退させるべきか――同盟軍の総参謀長グリーンヒル大将はそう思ったが、実行は容易ではなかった。
なぜなら、この方法は一つ間違えるとトールハンマー発射の機会を与えることにもなりかねないからだ。
同盟軍は苦心の上に陣形を再編。
戦力の一部を割いて回廊の右舷方向外縁から帝国軍の脇に回り込み、トールハンマーの射程内に押し込む形をとりつつ艦隊主力を後退させた。
これはヤン・ウェンリー大佐の進言が採用された結果であったが、グリーンヒル大将はさらに左翼からの機動的な波状攻撃によって帝国軍に少なからぬ損害を与えることに成功した。
中でも、ホーランド少将の分艦隊は柔軟で機動性を極めた艦隊運動によって帝国軍の陣列に突入すること三度、陣形を攪乱してはそこへ火力を集中して華々しい戦果を上げ勇名を馳せるに至る。
これは先日の戦いで、ハプスブルク艦隊に混乱に陥らされて被った汚名を返上するに十分な戦果であった。
このとき、帝国軍が全面崩壊に至らなかったのは、オスカー・フォン・ロイエンタール、ウォルフガング・ミッターマイヤーという二人の若い准将の活躍によるものであった。
第六次イゼルローン要塞攻防戦終盤の特徴は、帝国軍において30代以下の若い指揮官たちが個々に武勲を重ね武名を上げたことにあるだろう。
年配の指揮官で地位と名声にふさわしい功績を上げたのは、ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ大将、グスタフ・フォン・ナトルプ大将ぐらいのものであった。
* *
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