修行U
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時には操ることで錯乱させる。
彼女達は魔法陣を遣い、何とか防御と回避を行っているが、ウィスが望むのはそれではない。
それではいずれ限界が訪れてしまう。
そのままでは格上の相手には通用しない。
戦術の幅を広げ、実力を飛躍的に上昇させるためには魔力と雷光をその身に纏うことで防御と攻撃の双方を同時並行で行い、自分の手足の様に操作することが理想的だ。
滅びの魔力、堕天使の雷光、そのどれもが可能性に満ち溢れた力だ。
彼女達がその力の有用性に気付かなければ、彼女達は一向に成長しない。
如何に自分達が無限大の可能性を秘めた力をその身に宿しているのか、この死の瀬戸際の攻防で彼女達は自覚するべきだ。
「忘れましたか?魔法陣の発動には致命的なタイムラグが存在すると」
防御を行うべく魔法陣を作り出そうとしているリアスの思惑を越え、速度が上昇したエネルギー弾が多角的に曲がり彼女の背中に、脇に、足に着弾する。
今度は朱乃に被弾する。
鳴り止むことのない流星の如き攻撃
降り注ぐエネルギー弾
鳴り止まぬ騒音と爆風
リアスと朱乃の2人は疲労困憊の身で汗だくになりながらも対処する。
まだ彼女達に変化は訪れない。
まだ、まだだ。
一向に彼女達に変化は訪れない。
眼下にて奔走する朱乃が遂に悲鳴を上げる。
「リアス!」
このままでは……!
「朱乃……!」
考えろ……!この状況を如何に脱するかを……!
このままでは遠くない内に対処し切れなくなるのは分かり切っている。
魔法陣での防御も攻撃も無意味
なけなしに魔法陣を介することなく魔力を放ったところで軌道を逸らすことが精一杯であった。
ならばどうする。
思考を加速させろ。
模索しろ、己の力の有用性を
模倣しろ、ウィスの力の技術を、その力の遣い方を
ウィスはどうやって防御と攻撃を行っていた。
ウィスは如何なる術を用いていた。
自分と朱乃、祐斗にどうやって対処していた。
思い出せ、その全てを
……いや、待て、祐斗?
そうだ。
自分と朱乃にばかり目を向けていたが、今思い返せばウィスは掌に力を蒼く集束させることで祐斗の魔剣に対処してはいなかったか
「……!」
リアスはその身に迫るエネルギー弾に構うことなくその場に立ち止まる。
朱乃の制止の声に耳を傾けることなく、リアスは掌に意識を集中させ、魔力を集束させる。
そして、滅びの魔力を掌に凝縮させ、紅き刃と化した手刀を振りかぶった。
それは降り注ぐ無数のエネルギー弾を簡単に両断することに成功する。
「……漸く理解したわ、ウィス」
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