邂逅
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その場を!
だが曇り無き笑顔を浮かべている彼の前でそんな粗相を起こすわけにはいかない。
ならば後ろから!背中越しはフリーだ!
よし行け、姫島朱乃!
朱乃は長いようで短い刹那の思考の末、周囲の目を憚ることなくウィスへと飛びついた。
──背後から
此処は駒王学園の裏校舎に位置するオカルト研究部
あの後、リアスはバイザーが起こした被害の事後処理に走り、被害者である女性の今回の騒動の記憶を改竄し、表の世界に送り届けることになった。
現在、両者は部室内で対面している。
「それじゃあ、あなたが昔、窮地に陥った朱乃を救ってくれた人物で間違いないのよね?」
はぐれ悪魔バイザーを屠ったのが彼であることは理解している。
ならば後は彼と自身の懐刀である朱乃との関係を問いただすだけだ。
だが、別段、詳しく詮索する必要もないと思うのが本音であるが
先程から朱乃が彼の右隣を陣取り、終始、幸せオーラを全開にして彼の左腕に抱き着いているのだから
あー、少し羨ましい。心から甘えることができる男性がいて。いや、切実に
というか小猫までちゃっかり彼の膝上に座っているのだが
本人曰く懐かしい匂いを彼から感じるらしい
いや、何で?
「ええ、その解釈で間違いないですよ」
件の男性は優雅に紅茶を口に運び、リアスをその紅き瞳で見据える。
どこか底知れなさを感じさせる瞳の輝きだ。
「……そう。改めて朱乃の主として心からお礼を言わせてもらうわ。私の眷属の女王である朱乃を救ってくれてありがとう」
リアスは深々と頭を下げる。
「別にお礼をもらうために朱乃を助けたわけではありません。ですから、頭を上げてください」
「そういえば自己紹介がまだでしたね。私の名前はウィス。朱乃とは彼女が幼い時に一度だけ出会ったことがあります」
ウィスは抱き付く朱乃を優し気に撫でる。
まるで溺愛する妹を甘やかし、慈しむかのようだ。
「こちらも名乗らせてもらうわ。私の名前はリアス・グレモリー。このオカルト研究部の部長であり、悪魔世界で公爵家を有するグレモリー家の者よ。私のことはリアスと呼んでくれて構わないわ」
リアスは貴族としての誇りを胸に掲げ、誇らしげな様子で名乗る。
「ええ、分かりました。こちらもウィスと呼んでくれて構いません」
「分かったわ。これからよろしくね、ウィス」
「ええ」
両者は机越しに握手を交わす。
「早速、本題に入らせてもらうわね。今回、私の領土に侵入したはぐれ悪魔バイザーを退治してくれたことに感謝するわ、ウィス」
人間界の領土を悪魔が勝手に悪魔側の領土
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