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ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第19話 秘密と決意と悪意と
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なった。
だが1つだけ、まだ理解するに至っていないことがあった。
「でも、なんでこれを俺だけに?」
「えーとね、後でスプラヴィーンくんにも話すのは話すけど……」
その不可解なことを聞いた途端、フローラは急に奥歯に物が挟まったような言い方になった。不自然すぎる変わり方をエースは少し訝しんだが、すぐに表情を戻して会話を続けた。
「まぁいいや。後で話すんなら話してくれればいいと思う。とはいえ向かいの部屋だから、少しは聞こえてると思うけどね」
「うん。そう、させてもらうね」
そういうフローラの表情は、何故か逆に曇っていくように見えた。まるでこれから話すことの方がもっと大事であり、それを話すための決意がまだ出来てない、というような感じだった。
「まだ、なんかあったりする?」
「え?」
エースのその言葉で、フローラの表情は沈み込み気味な暗いものから、純粋な驚きへと変わった。その変化で予想が確信へと変わったエースは、さらに言葉を続けた。
「これを今言うとさっきの俺の言葉と矛盾するんだけどさ……もし双子だって伝えるだけなら、4人揃ってからリビングで話した方が手間が省けていいだろ? なのにそうしないってことは、もっと別のことがある、ってことなのかなー、と。これはあくまでも俺の勘だし、気に障ったなら謝るんだけどさ」
長々と自分の考えをエースが口にすると、その目の前でフローラが大きなため息をついた。その姿は、落胆ではなく諦めという風にとった方が正しい気がしていた。
「やっぱり、隠し事しててもすぐに見抜かれちゃうなぁ……。鋭いね、フォンバレンくん」
「スプリンコートさんが嘘や隠し事が苦手なだけだと思うけどね」
笑いながらそういうエース。
長い付き合いの中で、フローラが嘘をつくことが苦手なことは知っている。仮についていたとしても顔に出てしまってすぐにバレるのだ。それは隠し事の類いをしない分、信頼も容易に出来る人物である、という風に言い換えることも出来る。
「それで、本当に俺にしか言えないことって、なに?」
エースの聞き返し方は、とても軽かった。言葉の重みは、次をどうぞという程度でしかない。それは、次に何が来るか全く知らない、無知であるが故の軽さであった。
「あのね。こんなこといきなり言われても面食らっちゃうかもしれない。けど、少しだけでいいから、ちゃんと聞いてくれると嬉しいです」
フローラがそう言いきったあと、少しだけ間が置かれた。それはこの後に告げる言葉の重さを知っているが故の、重さを感じるための一時。これまで現実を見て揺らいでいたものは、現実を見てなおそこにしっかりとある。
「私は……あなたのことが好きです」
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