英雄伝説 閃の軌跡 王者の風
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お世辞かもしれない。だけど、それでも達人がちゃんと認めてくれたという事実に胸からこみ上げてくるものがある。
「男がそう簡単に涙を流すでない」
クロスさんが多少乱暴にだが頭を撫でてくれる。
「どれ、ここで会ったのも何かの縁じゃ。お主の中にある恐れ、ワシに話してみぬか?何か手があるかもしれぬし、ないかもしれぬ。だが、一人で抱えるよりは良いはず」
「少しだけ長くなります」
俺は初めて自分の過去について誰かに話したい気持ちになっていた。この人なら、俺の力をどうにかできるかもしれないと、そう感じられた。
「事情は分かった。では、その力、使って見せい!!」
話を聞き終わったクロスさんは旅装のマントを脱ぎ捨て、闘気を高め始める。
「なっ!?いきなり何故ですか!!」
「問答無用!!行くぞ!!」
咄嗟に構えた太刀がクロスさんの拳を受け止め、そのまま吹き飛ばされる。雪の上を転がりながら立ち上がり、すぐ目の前に近づいていたクロスさんに驚き、動きが止まってしまう。
「そらそらそらそら、どうした、反撃して見せい!!」
クロスさんが繰り出す連撃を太刀でなんとか受け止める。刃でしっかりと受けているのに、闘気が厚すぎて生身にまで届いていない。
「クソッ、弐の型・疾風!!」
高速で走りながら斬りつける疾風を使うが、クロスさんを捉えきることが出来ない。
「まだ力を見せぬか。ならば」
クロスさんが一度距離を取り、懐から何かを取り出して操作する。あれは、話に聞く戦術オーブメントなのか?
「これが何かは分かるか?これは戦術オーブメント、簡単に説明すれば導力術を使うための物だ。そしてコレにはワシが旅の中で集めた強力なクォーツが収められておる。さすがに村を滅ぼすほどの威力は出せんが、ユミルでは事情が少し異なる」
「どういうことですか」
「今、爆裂術式を最大射程で起動した。あの辺りを少し崩せばどうなると思う」
クロスさんが指を指して示した位置、そこが崩れれば
「雪崩が、ユミルを襲う!?」
「そうだ。何人生き残れるかのう。止めるにはこいつを壊すしかない」
戦術オーブメントを懐に戻しながらクロスさんは、いや、この男はユミルを滅ぼすと、エリゼや父さんたちを殺すと言い放つ。こんな、こんな人を信じようと、俺は、俺は!!
「させない、絶対にさせるものかーー!!」
4年ぶりに自らの中の焔を燃え上がらせる。今までこの焔を燃え上がらせた中で、一番意識がはっきりとしている。そして目の前の敵に飛びかかる。
「なるほど、確かに凄まじい力ではある。だが、力だけでは足りぬわ!!」
いつの間にか意識を失っていたのか、雪の上でうつ伏せに倒れていた。胸の奥
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