第16話
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る。
――陰険な官僚軍人かと思ってたが、遭遇戦で敵を叩きのめすだけあって、中将閣下はわかってらっしゃる。
ウキウキと足取りも軽く基地の玄関を出たレンチェフは、外に出るなり目を細めた。故郷のスペースコロニーの人工照明とは違い、コントロールされていない暴力的な太陽光。手早くサングラスをかけたレンチェフは、自分を迎えにきたという戦闘団の人間を探して周囲を見渡した。未だに瓦礫の点在する駐車場には、連邦軍の残した各種車両が勢揃いしている。ジオン公国もそのまま使っているのだ。
トラック、トラック、装甲車、戦車、トラック、装甲車、装甲車、装甲車、装甲車……見渡していると、一部の車両に動きがあった。連邦軍の軍用トラックではない。民間のファミリーカーだ。瓦礫と軍用車両で埋め尽くされた駐車場を縫うように走ってきたソレは勢いよく玄関に横付けすると、後部座席から二人の男を吐き出した。
「失礼ですが、貴方が独立重駆逐戦闘団に配属される方でしょうか?」
丁寧に話し掛けてきた中年の男も一歩後ろで控えている若い男も軍服を着ていなかった。そこらの一般人の服装で、ファミリーカーから降りたことを考えれば当然だろう。しかし、悲しいかな、変装に全く詳しくないレンチェフの目から見ても、二人が堅気の人間でないことは明らかだった。口調こそ丁寧だが、身に纏う雰囲気は職業軍人というより傭兵だ。
レンチェフの口角が僅かに上がった。レンチェフも行儀のよい軍人ではない。こういった暴力の気配を殺しきれていない輩は嫌いではなかった。行儀よく戦争がしたいなら統帥府にでも行けばいいのだ。新たな配属先へ期待を込めて敬礼する。
「独立重駆逐戦闘団に配属を命じられたレンチェフ大尉だ」
「おー、君が新入りか。私が独立ナントカカントカの……」
「独立重駆逐戦闘団」
「……の指揮官をしているストレイドだ。リーダーでも団長でもストレイドでも好きに呼んでくれ。階級はなんだっけ?」
「中佐」
「だそうだ。中将とか中佐とか、ここではあんまり意味無いから気にしないでくれ。私もすぐ忘れる」
ファミリーカーに乗り込んで暫く走り、ファミリーカーごとトレーラーに積まれて更に移動して連れ込まれたのは、おそらく地下施設。独立重駆逐戦闘団の基地らしいが、待ち受けていたのは行儀の悪さに定評のあるレンチェフをして、これはない、と思わせる一団だった。
引き合わされた独立重駆逐戦闘団の指揮官は外見こそ平凡な青年だったが、自己紹介はざっくばらんを通り越していい加減だった。だいたい軍服も着ていない。シャツ、スラックス、スニーカー、どこにでもいる兄ちゃんだ。傍に控える女性兵士――これも普段着だ――がいちいち訂正を入れるものの、あまり効果があるようにも見えない。
――こりゃあ、とんでもないところ
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