第一章
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ジェームス=ディーンに憧れて
底抜け艦隊、この映画を観てだった。
ウィストン=ダグラスは真剣な顔でだ、夜仲間の一人の家でビールを飲みながら友人達にこう言った。
「ジェームス=ディーンって俳優いるけれどな」
「誰だそれ」
「聞いたことないぞ」
「一体誰なんだ」
「若手の俳優だよ」
ダグラスはこう話した、彫がありやや陰のあるグレーの瞳を持っており面長の顔にくすんだ金髪がよく似合っている。兵役を終えたばかりのこともあり長身はすらりとしている。
「最近出て来たな」
「まだ売り出し中か」
「そんな役者か」
「けれどな」
まさに出たての俳優なのは事実だ、だがそれでもと言うダグラスだった。
「顔立ちは整っていて演技もな」
「いいのか」
「そうなんだな」
「あの俳優凄くなるぞ、特に外見と雰囲気がな」
この二つがというのだ。
「凄いんだよ」
「そんなに凄いのか」
「将来大物になる位に」
「そこまでの俳優か」
「これからどんどん伸びるかもな」
ダグラスはこうまで言った。
「髪型とかもいいしな、ファッションだってな」
「おいおい、随分惚れ込んでるな」
「まだ出たての俳優だろ」
「それでそこまで言うか?」
「また極端だな」
「極端でもな」
ダグラス自身このことは認める、だがそれでも言うのだった。
「凄いって思ったのは事実だよ」
「それでか」
「今もそこまで誉めるんだな」
「そうだよ」
こう言ってだ、ダグラスはこの日からジェームス=ディーンの髪型やファッションを真似る様になった。
ジーンズを好んで穿き少し変わったリーゼントにもした、そして少し拗ねた感じの表情にもなった。
そうしてだ、こう言うのだった。
「あの恰好よさをな」
「身に着けたいんだな」
「ジェームス=ディーンの」
「それをか」
「ああ、だからな」
そう思うからこそというのだ。
「こうしてな」
「ジーンズ穿いてか」
「前はスラックスばかりだったのにな」
「髪型もリーゼントにして」
「仕草も表情もか」
「真似てみているんだよ」
ジェームス=ディーンのそれをというのだ。
「それで今度初主演の映画上演するぜ」
「へえ、初主演か」
「前まで端役だったのにな」
「それがもうか」
「主演か」
「才能があって雰囲気も独特だとな」
それならとだ、ダグラスは仲間達に話した。トラックの運送の仕事を終えてハンバーガーショップでチーズバーガーを食べながらの言葉だ。
「すぐに出て来るさ」
「あれか?アジアの言葉で頭角を現す」
「中国か日本の言葉だったな」
「あっちじゃ能ある鷹もっていうらしいな」
「そんな感じになるんだな」
「そうだよ、凄い奴はな」
それこそと
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